声のはじまり

伊藤壱

さむい夜のあたたかな星は

見ているだけじゃいられなくて

きみがどんなに輝いてるか

はっきり声に刻んでいたくて


引き寄せられていくのは

やっぱりきみの力なの

たんなる小さなひかりなの


ぼくは叫んだきみの全てを

声と形で残せるように


輝け輝け 


電線に映る電灯のひかりが

つうと流れる星にみえて

なんて運がいいのでしょう


眠れない夜も星のせいに

ただ静かに浮かんでいよう


月は姿を変えてゆき

ぼくらはこのままこのまま

なくなってしまうのでしょう


願う手もついにはほどけて

すべてを連れ去ってしまうのでしょう


かなしいわくるしいわ

さみしいわいとしいわ


瞬きのようなあなたのひかりを

だから抱きしめてたいと思ったの

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る