ライムグリーンの月と僕
立夏よう
第1話
三度目に会った時、彼女は僕に聞いた。
「これって運命かもって思わない?」と。
僕はその時、何と答えるべきだったのだろう。今でも時折考えてしまう。
確かに、その時の僕の返事ときたら全く酷いものだったことは間違いない。
僕はこう返事をした。
「僕は、これは運命ではないと思うことができる。僕はそういう人間だからね。
運命か運命じゃないかなんて、僕にとってどうでもよくて、
どうにでもなることでしかない。
大事なことはただ一つ、これは運命じゃないんだって思うだけでいい。
そうしたらそれはきっと真実になる、すぐならなくてもいずれそうなる。
気持ちをコントロールしてしまえばいい。今どう感じてるかは重要じゃない。
これからの僕たちがどうありたいかが重要で、
僕たちのこれからの道を考えるならば、
これは運命じゃないって考えるのが正しいのだし、
そう考えたらきっとそうできる」
僕がそう答えると彼女は悲しそうな顔をして、そして黙って立ち去った。
その時の彼女の表情を忘れることができない。
あの表情を僕がさせたんだという痛みと共に。
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