第124話

「よし! アンジェロ、準備はいい?」


「ワン!」


「いくぞぉ、せーの……っ!!」


 ――ズボッ――


 積もった雪にニエとアンジェロの跡ができる。数日前からチラチラと雪が降り始めたと思ったらあっという間にこれだ。


 冬用の外装を揃えておいて正解だった。

 だがひとしきり振ったおかげで今日は天気がいい。


 大量の雪に晴れた空、こんなときにやることといえばあれしかないだろう。


「さて、俺は胴体を作るから二人は頭を頼んだぞ」


「はい!」


「ワフッ」


 丸く固めた雪玉を転がし地面の雪を纏わせる。次第に大きくなった雪玉は、自重により転がすだけで地面の雪の大半を引き剥がす。


 こんなもんでいいだろう。


 巨大な雪玉を前に一息つけると、遠くでニエとアンジェロが背丈ほどの雪玉を必死に押していた。


「アンジェロ、もう一押しいくよ!」


「ワン!」


「せいの……んーーーーーっ!!」


 大きな雪玉は半周ほど転がり、そのままニエたちは地面に腰を下ろす。


 こっちをみたニエが両手を振る。


「リッツ様、動きませーん!」


「よし、そのくらいで乗せてみよう」


 雪玉を持ち上げると重ね合わせる。


 ちょっと胴体がデカすぎたな……。


「リッツ様、顔の仕上げは教会の子供たちにやってもらってはどうでしょう」


「それもいいな、あとで聞きに行くか」


 教会のほうも今は雪かきで大変だろうから訪問は午後からだな。


 少し休憩しているとキャレットがタオルを持ってくる。


「随分と大きな雪だるまですね」


「雪かきも兼ねて作ったらこんな大きさになっちゃってさ。仕上げは教会の子供たちにやってもらおうかって話してたんだ」


「それならば私がお聞きしておきます。リッツ様方はお屋敷でお休みください」


「大丈夫、キャレットはまだここに来たばかりだし、無理をしない程度に仕事を覚えていってくれ」


「そうはいってもそこらのボンクラ貴族――失礼しました。ただの貴族たちと違い、こちらの皆様方はご自身の管理が行き届いてるため、仕事もそこまで大変というわけでもないんです」


「あっ! それなら私に料理を教えてもらえませんか!」


「ニエ様にですか? あまり特別な料理などはお作り出来ませんよ」


「構いません! 私もキャレットさんの故郷の料理とか、色々知りたいんです」


「かしこまりました。これから昼食のご準備を致しますがいかがなさいますか」


「それじゃあ私もお手伝いします! リッツ様、行ってきますね!」


「おう、こっちは任せておけ」


 まだ道に残った雪を集めさっきよりも中型の雪だるまを作り終えると昼食をとる。


 午後になりシスターへ話を伝えると子供たちも喜ぶだろうと快諾してもらえた。


 そしてもう一つ、教会の関係者と子供たちでやるというパーティへのお誘いがあった。

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