異世界を生き抜いた帝王 日本人に再転生する
たまゆき
プロローグ
「
「お気を確かに、まだあなたの力が必要です!」
「うう…陛下…」
「アラタ様、お願いです目をお開けください!」
「我が主…」
帝王の寝室で、周りにいる腹心の部下や、かつての仲間、家族が泣いている。
異世界に転生した転生者 小佐々 新<こざさあらた>はまさに今、死の淵にいた。
勇者になり魔王を倒し、邪神を倒し、王から帝王になり民を率いた男は、天寿を全うしようとしていた。
そうか…いよいよ2度目の人生も終わりか…
日本からこの世界に転生したアラタは必死に生きてきた。
ゲームの知識やマンガのおかげでスキルやレベルと言った概念を理解していて、
いわゆるチート的な生き方はしてきたが、
平和な日本からこの世界へと転生した後の、はじめて魔物と対峙した時の恐怖。
転生前はただのサラリーマンだったアラタが、知識を
チートではどうしようもない事は生きていく上で多々あった。
それでもここに転生された意味があるはず。と仲間に助けられながらも歯を食いしばり生きてきた。
魔王を倒した後は魔族を保護し、領土への欲しかない当時の人族の王を倒し、全ての民が幸せに生きれるように尽力してきた。
その甲斐あってか魔族にも認められ、
魔族や人族、様々な人種を統べる帝国を建国できたのだ。
飢える者や魔物に襲われる者、圧政を敷き私腹を肥やす者などがいなくなり平和な世界になっていった。
「アラタ、我が主よ。我はお前に忠誠を誓った。龍族は今後もお前が創ったこの帝国を守り続けるだろう。」
美しい女性の人型になってはいるが、尋常ではない魔力を、うちに秘めたドラゴンの王 リーズは優しく語りかける。
「師匠、私は貴方の教えを守り全ての民を導きます。」
弟子であり養子でもある次代の帝王 ヨセフも泣きながら宣誓する。
「陛下、俺達は陛下のおかげで獣としてでは無く、人として認められ生きていく事が可能になった。まだその大恩を返せてない!」
恐るべき獅子の頭を持つ獣人の王 レオルはずっと献身してくれていた。恩は充分に返して貰った と何度言っても聞かなかった。
「私達エルフは、妖精族と共に貴方と帝国に忠誠を誓った。お願いですから古代魔法を使わせてください…」
エルフと妖精族の長 メラルドは回復魔法と防御魔法のスペシャリストだ。
だが死にゆくアラタへの古代魔法での解決を禁じられ、悲痛な面持ちで懇願している。
「私は陛下のおかげで魔王を襲名できました。さらに魔族は人を傷つけず生きていく事が可能になりました。全ての魔の民はあなたに永遠の忠誠を誓っています。死なないで…!!」
かつて倒した魔王の娘、ベルゼは思いが溢れたのか最後の方は悲痛な叫びになっていた。
人を殺し瘴気を吸収しないと自分達が生きていけない、瘴気が血の代わりをしているような魔族の為、アラタは瘴気を発生させる魔法を開発したのだ。
アラタは薄く目をあけると、優しく周りに語りかける
「皆の者、しかと聞こえておるぞ。だがお別れの時じゃ。皆には何度か話したが、わしは転生者で今世と併せると100年以上頑張ってきた。
この世界はもう、わしがいなくても幸せにやっていけると信じておる。皆には悪いがやっと天にいける。いつかまた天で一緒に冒険しようじゃないか。
悲しまず、笑顔で送ってくれ…」
帝王の言葉を尊重し、泣きながらも微笑み
皆口々につぶやく。
「いつか、また。」
「いつか、また。」
「いつか、また。」
「いつか、必ず。」
それを聞いたアラタは満足そうに微笑み返しながら目を
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