第190話高坂家のお泊りパーティーその5
「ああ、昨日は良く飲んだわね」
加奈子達は浩一郎が朝食を用意している間、ぼんやりとソファに座っていた。望月は紫苑とお喋りしている。シロが望月の膝の上に居る。
「この猫ちゃんは人見知りしないね」
「人が好きなんです」
香ばしい匂いがしてきた。浩一郎はキッチンで忙しく立ち回っている。浩一郎の巨体がキッチンに居るのは何だか面白い。
「紫苑ちゃん、私達も手伝わない?」
「お父さん、自分のペースでしたいからお手伝いは要らないよ。お母さんも居るしね」
俊哉が朝食の準備をしている。料理は浩一郎、配膳は俊哉だ。2人息が合っている。望月はそれを見た。
「望月さん、お父さんとお母さんが気になるんですか」
「うん、仲が良いね」
「お父さんとお母さんは息が合っているからね」
「朝ご飯ができたよ」
俊哉が声をかけた。朝風呂から出てきた加奈子達は
「上げ膳据え膳は最高ね」
「良い味噌汁の香り」
それぞれが朝食に期待している。涼子が浩一郎に聞いた。
「高坂係長補佐、朝食は何ですか」
「鮭の切り身とシジミの味噌汁、生卵に納豆だ」
「すごい和食ですね」
「飲んだ次の日は和食が良いだろう」
テーブルには加奈子達お客さんが座り、リビングでは高坂親子がローテーブルで食べる。
「こんな朝食は理想的よね」
「なかなか自分では面倒くさいんだよね」
賑やかな朝食だった。加奈子はご飯のおかわりをした。
「貴女、太るわよ」
「大丈夫よ、1日くらい」
朝食後はコーヒーで
「そろそろお開きにしようか」
全員が賛成した。全員帰る準備ができている。浩一郎が車を出す。
「浩一郎さん、俊哉、ありがとうね」
全員を代表して涼子が言った。
「どういたしまして。大した事は出来なかったが」
浩一郎は言った。
「また来てね」
紫苑がそう言うと、4人は紫苑に言った。
「紫苑ちゃん、タイトル戦目指して頑張ってね」
はい、と紫苑は答えた。玄関先、シロも居る。
「またね」
浩一郎の車は出発した。
「紫苑ちゃん、後片付けのお手伝いお願いしていいかな」
「うん、良いよ」
後片付けを2人でしていると紫苑が言った。
「望月さん、不思議な人だね」
「不思議と言うより自分をしっかり持っている人だね」
「碁もなかなか強かったよ。本当はもっとお話したかったけど」
「また来てくれるよ」
シロはキッチンの2人を見える場所で座っている。俊哉はシロを見て
「トイレの掃除をしてあげよう」
キッチンから離れた。紫苑は1人で洗い物を布巾で拭いている。しっかり乾燥させないとカビの原因にもなる。後片付けはとりあえず終わった。シロのトイレ掃除から帰ってきた俊哉は紫苑にコーヒーを淹れる事にした。
「紫苑ちゃん、騒がしくして悪かったね」
「ううん、大丈夫」
俊哉はチョコレートを持ち出した。コーヒーに良く合うちょっとビターなチョコ。
「お客さんが来ると部屋の空気も変わるね」
「うん、みんな気の良い人ばかりだからね」
紫苑はチョコを食べてコーヒーを飲んだ。
「お父さんとお母さんは仕事上手くできているんだね」
「何でそう思うの?」
「嫌いな人の家でお泊りなんてできないもん」
なるほど、と俊哉は思った。
「じゃあ次は紫苑がお泊り会をしたいんだね」
紫苑は俊哉の勘の鋭さに驚いた。
「うん、囲碁部の女の子と囲碁の勉強をしたいの」
「遠慮しないで呼んだら良いよ。何時でも大歓迎」
帰ったよ、と浩一郎の声が聞こえた。俊哉はコーヒーの準備をするのにソファから立ち上がった。高坂家の日常が戻った。
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