第35話 二度目のアネットとの戦い
俺とアニタ、アネットは昼食を食べに行く。アネットは俺に聞く。
「午後はどうするつもり。」「魔法省に寄って行こうかと思っているわ。」
「私も一緒に行ってもいいかしら。」「いいわよ。宮廷魔法士にも会えるわよ。」
「それは楽しみだわ。」
食後、俺たちは魔法省に行く。するとローズが出迎える。
「アニー、来ると思っていたわ。アネット様も一緒に来たのね。」「宮廷魔法士とはローズ様のことだったの。」
「アネット様、今は私と魔法士長のリーザ様しかいないわ。」「いえ、ローズ様に会えてうれしいです。」
彼女は他の宮廷魔法士を期待していたのだろう。俺は合格順位の判定がどのような基準で判断されたのか気になっていた。
「お姉様、合格発表の前、試験官が話し合っていたのですが何かあったのですか。」「アニーが一瞬で倒してしまったのであなたの魔法の才能について判断に困ったのよ。」
「あっさり倒して悪かったのですか。」「無詠唱のサンダーボルトでしょ。」
「その通りです。」「他の試験官は判断に困っていたわ。それで正確に魔法を使ったアネット様が首席合格になったのよ。」
アネットは納得いかない。
「ローズ様は反対しなかったのですか。」「アニーがサンダーボルトを使ったと主張したから、アニーは合格になったのよ。」
「アニエス様の合否で判断に困っていたんですか。」「そうよ。アニーは体術を使ってワーウルフの攻撃をかわしたわ。これは魔法の試験なんだから魔法でかわすべきだったのよ。」
「お姉様、私はぎりぎりで合格したのですか。」「そうよ。強くなったのは認めるけど、あくまで魔法士の試験なのよ。」
ローズの言葉に俺はショックを受ける。魔法士としてアネットの方が高く評価されていたのだ。
翌朝、俺は気持ちを切り替えて試合に挑む。アネットも今日は無口で集中しているようだ。俺とアネットは闘技場のグランドに立つ。
観客席は、試合を見に来た人でほぼ満員になっている。試合開始の時間が迫って来る。俺は試合に集中して、観客のざわめきも聞こえなくなっている。
試合開始と同時に俺はファイヤーボールを撃つ。アネットは高速詠唱してウインドシールドで防ぐとともにファイアーランスを10本撃ち出す。
俺はウインドシールドをドーム状に展開して四方から飛んでくるファイアーランスを防ぐ。アネットはファイアーランスを撃ち続ける。
俺は防御に徹する形になるが、クレイウォールをアネットの足元に出現させる。彼女はバランスを崩して倒れる。
俺はファイアーランスをアネットに連射する。彼女はとっさにウインドシールドで防ぐ。彼女の防御は強力でファイアーランスの連射では破れない。
しかし、やめることはできない。やめればすぐにアネットは攻撃に転じるだろう。俺はファイアーランスを撃ち続けながらアネットの近くにマグマウォールを作りだす。
アネットは俺の意図を察したのかマグマウォールから逃げ出す。俺はファイアーランスをやめ、ウォーターボールをマグマウォールに打ち込む。
同時にウインドシールドで防御する。マグマウォールは水蒸気爆発を起こす。アネットはウインドシールドで防御するが爆風に跳ね飛ばされ地面にたたきつけられる。
救護者が出てきてアネットの容態を確認する。そして試合続行不能の合図をする。彼女は気絶していた。
俺の勝利が決まり、闘技場は歓声にわく。俺とアニタはアネットの様子を見に行く。
彼女にケガはなかったようだ。彼女は俺に怒る。
「水蒸気爆発はひどいでしょ。」「隙が無いから他に良い方法を思いつかなかったのよ。」
「まあ、強力な魔法は殺してしまうから使えないものね。」「そうね。」
アネットとの二度目の対決が終わり、上級魔法士の免状をもらえるまで1週間位かかるので、俺たちはアネットと過ごすことにする。
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