第47話 妖精たちは大興奮


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【癒し】悪役令嬢アルビダ様を応援するスレ 11.



 911:名無しの妖精

 アルビダ様嬉しそうだったなぁ。天使の笑顔を見れて幸せ。


 912:名無しの妖精

 サミュエルだけでなくデービットまで救うとか女神!


 913:名無しの妖精

 このままいくと、ストーリー全く違うものになりそうだぬ。


 916:名無しの妖精

 アルビダ様の断罪フラグ全てへし折れる可能性大。


 917:名無しの妖精

 >>913確かにな。本来はアルビダ様が呪いの魔具を使った張本人っての、泣かれちゃうのが嫌で言えなかったんだが、そのフラグを回収してくれて本当に良かった


 918:名無しの妖精

 サミュエルとデービットは天使アビィ様に惚れたな。


 919:名無しの妖精

 毎日配信が楽しみすぎて、日々の仕事がんばれる。


 920:名無しの妖精

 >>917ほんまそれ! 大泣きしてるの一回見てるだけに、下手なこと言われへんくて、誰もその事に触れてなかったしな! 結果オーライで良かったわ。


 921:名無しの妖精

 次はあのイベントかな? また別かな? 幼少期で全てフラグ回収して、本編スタートしたら楽しい学園生活を送って欲しいね。


 922:名無しの妖精

 俺らが楽しい未来へと導くのだ!


 923:名無しの妖精

 どんどん未来が良い方に変わっていくな。


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 妖精たちが掲示板で盛り上がっている頃。

 アルビダは邸にある秘密の庭園にて水魔法の練習をしていた。


『おおっ、すごいじゃないか! 今まで出来なかった水球がちゃんと作れているよ!』

「やっ、やりましたわ!」


 アルビダの前には、子供の頭ほどの大きさの丸い水塊がふよふよと浮かんでいる。


『さ、次はその水塊をあの的を狙って飛ばすんだ』


 ロビンの腕が五メートル先に置いてある的を指す。


「はい! 頑張ります」


 ———的まで飛ぶように集中して……投げる!


 水塊は勢いよく飛んでいき、的に綺麗に当たった。


「やりましたわ!」


 アルビダは嬉しさのあまり、その場でぴょんぴょんと飛び跳ねる。


『うんうん。僕の教えがいいからだね』


 ロビンはそんなアルビダの姿を見て、短い腕を組み満足げに笑う。


『そろそろ戻らないと、昼食の時間じゃない?』

「あっ、そうですわね。メアリーを困らせてしまいますわ」


 アルビダはロビンをギュッと抱きしめ部屋へと戻った。




 ★★★



「アルビダ様! 探していたんですよ。どこにいたんです?」


 部屋に戻ると、メアリーが立っていた。その姿は息が荒く汗をかき、走りまわったようにも見える。

 どうやら部屋に呼びにきて、アルビダの姿がないので探し回っていたようだ。


「すみません。庭園で日向ぼっこしていました」


「そうだったのですね。今度からは出かける場合。先に行き先を教えてくださいね」


 アルビダの返事に顔色ひとつ変えずに淡々と話すメアリーだが心の声はもちろん違うわけで……。


〝はぁ良かった、あまりにも可愛いから、誘拐でもされたらどうしようと、余計な心配してしまいました〟


「ゲフッ、わ、わかりました。心配かけてすみません」


「いつもより早くお呼びしたのには訳がありまして」


「訳ですか?」


「はい、実はデービット様とサミュエル様がこの後来られるとの連絡が入りまして、急遽サロンの用意をしているのです。ですのでアルビダ様の衣装の準備をしにまいりました」


 ———え? デービット様とサミュエル様が? どうしたんでしょう? まさかまだ呪いが残っているとか?


 アルビダはよからぬことを考えてしまい表情が曇る。


 二人のことが気になり急いで食事を終わらせると、サロンに待機し二人の到着を待つのだった。


 サロンのソファーに座り待機していると、執事に案内された二人が入ってきた。


「こんにちはアルビダ嬢、急な訪問をしてしまってごめんね」

「こんにちはアルビダ嬢、今日はお願いがあってきたんだ」


 アルビダを見つけると、息ぴったりに二人が挨拶を交わす。


 ———お願い? やはり呪いが完治していなくて!?


「もしかして呪いが完治していないんでしょうか?」

「え? いやいや、お願いってのはそうじゃなくて、呪いは完璧に解呪されたよ」


 サミュエルは慌てて違うと否定する。

 だとしたらお願いとは何なのかと、アルビダは首を傾げた。


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