怪談「スガタミズバシ」⑤
そこにいたのは大きな蛇でした。
いや、本当にそうだったのか、今でも自信がありません。
蛇のようなものだったのは間違いないのです。
ただ、蛇にしてはシルエットに出っ張りが多くて。
ほの暗くて、鱗とか良く見えないんです。
しかも小さく「オタキハドコダ」と喋った気がして。
だから、目を凝らして一度瞬きしたんです。
でもそうしたら、もう居なくて。
「うっ」
と、いう声が後ろからしました。
見ると、一番後ろにいた女の子が橋の欄干にもたれて苦しんでいるんです。
その様子が余りに辛そうで、近くにいた男の子も逃げちゃって。
でも、あまりに体重を載せすぎて、欄干から身を乗り出しかけていたので、私が駆け寄ったんです。
すぐにおかしいとわかりました。
服に手形が、彼女の白いシャツの袖辺りをがっぷりと掴む手形が見えたんです。
手は袖だけじゃなくて彼女の至るところに見えました。
「た、祟りだ……中野長者の……」
誰かがそう呟くのが聞こえました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます