12月8日、非常事体

『さあ、かなり不味いことになった。昨日、なんでか色々変化について書いた気がするがもう覚えていない。違う、書きたいのはこんなことじゃない。一度落ち着かせてくれ。


 あいうえおかきくけこさしすせそたちつてと


 ふぅ……こんな馬鹿らしく五十音順にひらがなを書くと行為ですらパニック状態になっている俺を落ち着けてくれたよ。続きを書こう。というか本当に馬鹿らしいな、幼稚園児かよ。


 

 まず俺の予想通りなら800m地点のアリスが4つに増えたあと、その次にはまた800mの地点からさらに800m、つまり側溝から1600mの地点に新たにアリスが出現するはずだった。


 だが予想は見事に外れ、800m地点のアリスは側溝のアリスに向かうように3mくらいか、遠くから見ても分かるほどにそのありとあらゆる隙間にアリスが出現していた。軽く見ただけでも50個以上はあり、それ一つ一つが強烈な存在感を放っており、そんなはずはないのに何かうごめているように感じられた。


 その瞬間俺の心は恐怖に支配されその場を走り、逃げ出していた。今冷静になると、俺は予想外のことが起きたとき、すぐにパニックになってしまうらしい。これは謎の存在、アリスと関わって行くうえで致命的だろう。

 

 一回整理しよう。恐らく800m地点のアリスは新たに数々の隙間に出現して、側溝のアリスに向かって来ている。


 7.800m地点のアリスが周りの隙間に増殖し、側溝のアリスに向かって来る。


 つまりアリスの変化にこれも追加だな。そして病状で言うならフェーズⅢと言うところか。

 だいぶ冷静になってきた。ひとまず、今日はここで終わろうと思う』

 

 


 


 

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