隙間の中のアリス症候群

谷春 蓮

プロローグ 12月2日

 「ふぅ…」


 青年は机に座りノートを開いて日記を書き始める。




 『今日から少し不思議と言うか心霊現象?みたいなことが起こった(見た?)ので、それを日記にして記して置こうと思う。実に不思議なことだった。

 それが起こったのは夕暮れ時に俺が住宅街を歩いていたときで、ふと側溝の隙間を見たときに何かが見えたんだ。もしかしたら人か何かなんじゃないかと思って側溝を覗いて見ると隙間に何か10cmほどの…ホントに何かとしか言いようがない(書きようがない?)ものがあった』


 青年は日記を書く手を止めない。むしろ早くなっている


 『例えるなら人間と犬とトラを黒塗りにしてミキサーに掛けたようなものとしか言いようがない。(書きようがない?まぁこんなことを書いても意味はないのでこれからは書きようがないに統一しようと思う)

 自分でこれを書いていても意味がわからないんだが、ほんとにそうだったのだし、絶対に見間違えではなかった。

 日々の疲れが出たのか…はたまた心霊現象なのか…取り敢えず今日はそのまま家に帰ってこれを書いてるわけだがまた明日、確認しに行こうと思う。

 そして明日も何かが残っているならまたこの日記を書くことになるだろう。正直書くと俺はもともと心霊現象とか、オカルト的なものはあまり好きではないし苦手だ、はっきり書いてその何かを見たとき、俺は恐怖に支配されていたよ恥ずかしながらね。だからどうかこの日記がここで終わることを祈ろう』

             2022年12月2日』


 

 

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