第5話夢であえたら

僕は何故かホテルの一室にいた。

照明がピンク色で大きなベッドを照らしている。ベッドの大きさはキングサイズといったところか。それに枕が二つある。

何となくだが、いかがわしい雰囲気漂う部屋だった。ここはビジネスホテルなどではなく、そう、いわゆるラブホテルだ。

彼女いない歴イコール年齢の僕はこんなところに来たことなんてない。

童貞憧れの場所、それがラブホテルだ。

この景色はアダルトビデオでしか見たことないものだ。



僕はこれまたどうしてだかわからないが、パンツだけのかっこうでベッドに座っていた。エアコンがきいているようで、けっこう肌寒い。


「なあ、灰都君。なあ、なあって灰都君……。こっちむいてえな……」

このアニメにでる声優のようなかわいらしい関西弁はあの難波零子のものだ。

僕はその声の方向を見る。


なんと難波零子が下着姿で四つん這いになってこちらを見ていた。

白いフリルのついた下着の上下を着ている。

女豹のようにゆっくりと四つん這いでこちらに近づいてくる。

ゆっくりとゆっくりとこちらにやってくる。

その度にメロンのようなおっぱいがぷるぷると震えている。これは絶景だ。

獲物を見つけた猫科の動物のような瞳で僕をじっと見つめ、ペロリと舌なめずりした。

獲物を見つけた。彼女の瞳はそんなようなことを物語っているように思えた。

僕はそんな難波零子に見られ、これからおこることへの期待で、生唾をごくりとのみこんだ。


難波零子のように可愛くて、綺麗で、セクシーな女子に童貞を卒業させてもらえるなら、こんなに幸せなことはない。

僕は好き好んで童貞を守ってきたわけではない。むしろどうにかして、早く卒業したいぐらいだ。


「なあ、灰都君…… うちとどんなことしたいん?」

難波零子は僕の肩をつかみ、仰向きに寝かす。女子とは思えない、すごい力だ。僕はされるがままだ。

僕の下腹部にまたがる。

見上げる胸の双丘はそれはもう立派なものだった。

「なあ、どうしてほしいん? 言うてみてよ」

まるでエロ漫画によくでてくるサキュバスのような笑みを難波零子は浮かべている。

「え、エッチなことをしたいです」

僕は声を振り絞り、そう言った。

その言葉を聞いて、難波零子は満面の笑みを浮かべる。

「うちもやねん。うちら気あうな。うちも灰都君とエッチなことしたくてしゃーなかったんよ。灰都君とチューしたいわ♡♡」

難波零子は僕に顔を近づける。

息と息がふれ合い、お互いの鼻先がふれ合っている。絶世の美女とも言える難波零子の顔がゼロ距離にある。

「なあ、灰都君。うちのこと好きにしてええんよ。うちに灰都君がしたいこと全部してええねんで……」

難波零子のその言葉を聞き、僕の体の中で何かがはじけた。なにものにも耐え難い感覚が全身を支配する。


そこで僕は目が覚めた。

はっとおもいっきり起き上がる。

下半身に冷たい不快感がある。

はーやってしまった。

まさか出会ったばかりの女子が夢にでてきて、夢精してしまうなんて情けない。

不幸中の幸いは妹の白音しろねが帰宅していないことだ。


僕は洗濯機にスウエットの上下と下着をいれ、シャワーを浴びる。

熱いシャワーで汚れを流す。脱衣場で体をタオルでふき、別のルームウェアに着替える。

洗濯機を回し、髪を乾かす。

シャワーを浴びて、身も心もさっぱりした。

白音が帰ってくるまえに晩御飯の用意をしなければ。


僕はキッチンに行き、カレーを作る。

カレーの隠し味にインスタントコーヒーを入れるのが僕流だ

そうこしているうちに妹の白音が帰ってきた。


「はーいい匂いがするね。私、お兄ちゃんのカレー大好き」

仕事から帰ってきた白音がそう言った。

ボブカットの髪型にくりくりした瞳が特徴的だ。背は百五十センチメートルと低く、ふっくらとした女の子らしいスタイルをしている。我が妹ながらけっこうかわいいと思う。

「ほら手を洗ってきなよ」

僕が白音に言うと彼女ははーいと言い、洗面所に行った。

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