第260話 誰が為の命

ミラの体から覇気が消え、その顔には絶望の2文字が。


「ミラさんの両親の指輪?奪われたってことですか?なら、サリアが今取り戻してくるーー。」

「それでは意味がないんだ。私とクロウも嵌めているこの指輪は、どう足掻こうとも外せないんだ。何か、特殊な力によって。」

「え、だとしたらなんでミラさんの両親の指輪がアークのところに……まさか!?」

「ああ、私が探していた父と母は、


ミラの絶望している姿に、サリアはどう言葉をかければいいのか分からずにいた。



「あはははっ!察しがいいね、狼さん!そう、これが僕の手にあるということは、君が助けようと10年以上旅した意味は、全くなかったということさ!」

「ふざけないで!ミラさんのこれまでの道を否定するのは、サリア達が許さない!」


シュイーンッ!

サリアが怒りのあまり、力を解放していく。


「ふっ、君が戦ったところでそこの狼さんはもう変わらないよ、もう死んでしまっているのだから、心がね!」

「黙れと言っているやろが! 神憑りクロス開始スタート!」


シュインッ!

ガギーンッ!

サリアは、力を解放しエリカリットと共に戦い始める。


「へぇ、君にもそんな力があるのか、興味深いね!」

「あなたはミラさんを傷つけた!その償いは、その体で受けてもらうで!」


ガギーンッ!ガギーンッ!

ダガーとダガーが目に見えぬ速さでぶつかり合う。




場所は隣の部屋に移り、クロウとアーシェ。


王のゼオンが鰐の仮面をつけ、力を解放した。


「くそっ、厄介なことをしやがる!」

「やるしかないわ、行くわよクロウ! 始まりの力ファーストギア入力オン!」

「ああ、やってやるぜーー。」


スッ。

突如クロウの頭の中に、違和感が流れ込む。


(なんだ、サリアとミラの部屋から何かが消えた?これは、ミラの感覚?まさか、死んだってのか……いや、だとしたらもっと大きい力がないとあいつは死なねえはずだ。何か、おかしい!)


「どうしたの!クロウ!」

「あっちの部屋が変だ、ミラの覇気が全く感じられない、何かあったんだ!」

「え?あの人を倒すなんて相当難しいはずよ、正直私たちの中で1番強いんだから。」

「だから尚更気になるんだ、悪いアーシェ、3分だけ時間をくれ。」

「……分かったわ、でも3分だからね!流石に私でもこの化け物相手に長時間は苦しいわ。」

「ああ、悪い!」


ズザッ!

クロウは隣の部屋に走る。


「ぐぉぉ!!」

「さあ、私とあなたの戦いも始めましょうか!」


アーシェはゼオンと激しい戦いを始めた。



クロウは隣の部屋に入り、サリアとアークが激しい戦闘を繰り広げる中、床に崩れ落ちてるミラの姿が目に入る。


「ミラ!どうした!」


ズザッ!

クロウはミラのそばに走り寄る。


「おい、どこかやられたのか、傷は?」

「私には、もう、戦う意味がなくなってしまった。」

「はぁ?お前、いきなり何を言って。」

「アークが、私の父と母の指輪を持っていたんだ。君もつけている、同じ力を引き出せる力を。」

「まさか、それでお前は両親が死んだと思っているのか?」


スッ。

クロウはミラの顔を自分の方に向けさせる。


「ああ、だってそうだろ。あの指輪は、何があっても外せない、これまで外れた者達の共通点は死んだことだ。だとしたら、私の父と母もーー。」

「だからって、お前はもう両親が死んじまってるって決めつけるのか!」

「仕方ないではないか!これまでの歴史が、経験がそう言っているのだ、私は、生きる意味を、旅する目的を失ってしまった。」


ミラの目には、完全に正気が無くなっている。

生きる死体といってもいいだろう。




だが、レイヴァーのリーダーであるクロウはミラが諦めることを許さなかった。


「お前は、その目で見たのか?」

「え?」

「ミラは、その目で両親が死ぬのを見たのかって聞いてるんだ!」

「そ、それは、見ていないがーー。」

「だったら、最後まで希望を捨てるな!」


クロウは、ミラの目をまっすぐ見る。


「だが、あの指輪がーー。」

「指輪がどうかなんて関係ない!俺は、この目で見たことしか信用しない、これまでがたとえ指輪をしてる奴が外した時に死んだとしても、それは何の証明にもならない!可能性が0じゃないなら、お前が生きるのを諦めるな!」

「怖いんだ!希望を持って先に進んで、本当に2人が死んでいたら、私の生きる意味は無くなる。2人を探すためだけに、私は生きてきたんだ!」


ガシッ!

クロウはミラを強く抱きしめる。


「生きる意味がないって言うんなら、俺が意味を与えてやる!

「え?」

「俺は、この世界に何が起きてるのか解明する。その為には、ミラの力が必要だ。俺が生きる為に、ミラも生きて、俺が死ぬ時にはお前も死ぬ道を辿る、それが俺からの命令だ。」

「だが、それではアレスに迷惑をーー。」

「そんなことは関係ねえ!簡単な話、ミラは俺のために生きろって言ってるんだ!俺は頑丈だからよ、そう簡単に死ねると思うなよ。


ミラの顔に、少しずつ安らぎが。


クロウの言葉は、ミラに深く刺さったようだ。



「あれれ?何烏が狼のとこにいるのかな?もうその狼は死んでるんだよ、邪魔しないでくれ!」


バヒューンッ!

鋭い斬撃が2人に迫る。


「ちっ!」


クロウがミラを庇い、目を瞑った瞬間、


「邪魔をしてるのは、そっちじゃないかい?」


ガギーンッ!

反対側から斬撃が迫り、弾き飛ばす。


「なんだ!?」


アークは驚きを見せる。


そこには、ノエルの姿が。


「アーク、個人の感情で悪いが、僕は君のことが嫌いみたいだ。」


ノエルは拳を構え、部屋に入ってきた。




バゴーンッ!

ゼオンとアーシェの戦いも激しさを増す一方だった。


(くっ、次のギアに入れないとーー。)


「アーシェさん!伏せてください! 緑龍リョクリュウ龍怒号リュウノドゴウ!」


シュッ!

ガギーンッ!

緑色の斬撃が、ゼオンの動きを鈍らせる。


「リィン!」

「お待たせしました、ここからはあたし達も参戦します!」


ノエルとリィンが合流し、レイヴァーは揃った。



さあ、ここからレイヴァーの戦いの始まりだ。



第50章 完



◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第50章まで読んで頂きありがとうございました。


王は仮面をつけ、力をさらに上げていく。

アークは、ミラの両親の指輪を手にしており、ミラはショックを受ける。

だが、クロウの言葉で徐々に立ち直り、ノエルとリィンも合流した。


ここからがレイヴァーの時間だ!

さらに激しくなる戦い!

レイヴァー応援してるぞ!


と思ってくださいましたら、

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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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