第171話 ソーマの力
「さあ、俺を楽しませてくれよ!そして、派手に殺されろ!」
「主催者がイカれてるとんだ舞踏会だな、ノエル!俺とソーマを抑え込むぞ!アーシェとサリアは後方支援だ!」
「了解!」
ズザッ!
クロウとノエルはシンクロしてるかのように同時に走り出す。
「あの時の俺と同じだと思うなよ、レイヴァー!来やがれ!」
バゴーンッ!
壁から黒く太い木が生え、2人を狙う。
「壁から植物が生えるなんて、とんだチートだな!
「油断は禁物だ、確実に対処していこう!
ガギーンッ!
クロウのジャンプ斬りと、ノエルの足蹴りが木を弾く。
「ほらほら!もっと踊れよ!」
ガゴーンッ!ガゴーンッ!
壁の至る所から木が生え、2人を狙う。
「ちっ、ギアを上げてくぞノエル!」
「そのつもりさ!」
スッ、ズザーッ!
ガギーンッ!
木を避け、時に弾く。
法則性のない攻撃を2人は華麗に捌いていく。
「はははっ!いいなお前ら!俺だけが強くなってなくて嬉しいぜ!」
「舐めんじゃねえよ、俺たちと出会ったことを後悔させてやるさ!
ズンッ!
ガギーンッ!
大剣の突き攻撃がソーマを襲う。
しかし、
ソーマに触れる数センチ手前で何かに受け止められる。
「なんだ、バリア!?」
「勘がいいな、そうさ!お前の力じゃ壊せねえよ!」
ブンッ!
ソーマの足蹴りがクロウに迫る。
「ちっ!」
「やらせない! 捕えろ!
シュンッ!
パシッ!
植物魔法の木の枝が、縄のように足を絡めとる。
「いい感じに邪魔だな、器ごときが!」
「器?何のことーー。」
「サリア!今は目の前のことに集中しろ!
ドスンッ。
両手の掌底突きがソーマをのけぞらせる。
「へえ、その反応は、まだあいつは真実を知らねえんだな、可哀想によ!」
「てめえがどう思おうが関係ねえ!これが終わったら、サリアの望む結果にするだけだ!」
「それは無理だな!お前たちはここで皆殺しだからな!」
「はっ、頭に血が上りすぎだろ、少し冷ましてもらえ!」
ズザッ!
クロウは距離を取り、
「落ちろ!
バギバキバキッ!
ドゴーンッ!
ソーマの上から、氷の塊が押しつぶす。
「少しは、落ち着いて欲しいわね。」
「いいや、まだ足りないみたいだよ、あの戦闘狂は。」
パリーンッ!
容易く氷を砕き、ソーマは姿を現す。
「いーや、ちょうど喉が乾いてたから良かったぜ!」
ガリッ!ガリッ!
砕いた氷の魔法を自ら食べていた。
「本当、狂ってるわね。魔力を外部から取り込むことがどれだけ危険なことか、全く知らないのかしら。」
「そんなことは関係ねえよ、これが俺のやりたいことだ!やりたいようにやって楽しめりゃなんでもいいんだよ!」
バゴーンッ!バゴーンッ!
次は天井から黒い木が突き出し、アーシェとサリアを襲う。
「この城の中はあいつの領域ということね、 爆ぜなさい!
ボァァ!!
バゴーンッ!バゴーンッ!
砲弾のような炎の玉が、黒い木を砕く。
続けて、
「射貫け!
ピューンッ!
魔銃から無属性のビームを放つ。
「ふんっ、こんなもの!」
キーンッ!
ソーマは容易く受け流す。
その隙を、クロウとノエルは狙っていた。
「ノエル!合わせるぞ!」
「ああ、弾けろ!
スッ!
ドゴーンッ!
前面と背面からの正拳突きが、ソーマを突き刺す。
だが、
「だ、か、ら!てめえらの攻撃は俺に届かねえんだよ!吹き飛べ!」
バゴーンッ!
ソーマから衝撃波が生まれ、2人は弾き飛ばされる。
ズザーッ!
なんとか受け身を取り、大事には至らない。
「くそっ、硬いとかそういう次元じゃねえな。」
「何か弱点があるはずだ、それを探さないと埒があかない。」
「なら、私がソーマの魔力を探って弱点を探し出すわ、時間を稼いで!」
「了解!任せたよ、アーシェリーゼ!」
ガギーンッ!ガギーンッ!
ノエルとクロウは動きを止めずに、攻撃を繰り返す。
そうすることで、少しでもアーシェに意識を向かせない。
「おいおい、俺を調べるって言ってる奴があんな遠くにいたら何もわからねえぞ!」
バゴーンッ!
アーシェの真下から顔面目掛け黒い木が迫る。
「やらせないってば!
シュインッ!
ジャギンッ!
回転射出されたダガーがアーシェを守る。
「ちっ、邪魔だなてめえは!エリカ!」
「今はエリカじゃないよ、サリアだからね!」
「はっ、真実を知ればてめえなんてーー。」
「おいおい、俺たちを無視するなよ!」
「ダンスはまだ始まったばかりのはずだけど!」
ガギーンッ!ドゴーンッ!
クロウとノエルはさらに物理攻撃を重ねていく。
「ちっ、こいつらも邪魔だな!」
この戦闘の中、アーシェは全神経を使いソーマの体の魔力を感じ取っていた。
(何この流れ、魔力が体を巡回してるというより、使ったそばから生み出されてる?そんな構造聞いたことがない、それとソーマ以外の魔力も感じる、確かこれは……。)
「っ!?クロウ!左胸、心臓の部分を思い切り攻撃して!」
「へっ?分かった!」
「させるかよ!」
ガゴーンッ!
黒い木がクロウを襲う。
バゴーンッ!
その木は、ノエルによって弾かれる。
「うちのリーダーに手を出さないでもらおうかな!」
「ナイスだノエル!
ブンッ!
バギーンッ!
2刀の突きが、心臓目掛け迫る。
バリリリリッ!
先程までとは手応えが違い、雷鳴のようなものが響く。
「なんだ、この感覚ーー。」
「ちっ、バレちまったか。まあいい、吹き飛べ!」
「うおあ!」
バゴーンッ!
さらに強い衝撃波がクロウとノエルを壁に叩きつける。
ただ、クロウの攻撃は無駄ではなかった。
先程の攻撃で上の服が破れ、赤い宝石のようなものが埋め込まれてるのが見える。
「あれよ、あれがあいつの力の源、そしてラーゼの力を閉じ込めた石!」
「どういうこと?ソーマとラーゼが融合してるってこと!?」
「いいな、魔族の女、正解だ!これが俺の力、最高の力だ!」
バゴーンッ!
さらにソーマは力を解放していく。
バリバリバリッ!
城の壁にヒビが入る。
ソーマの力は、どこまで上がってしまうのか。
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