異星人とJKの不思議な同居生活

一宮 沙耶

第1話 おじさんと女子高生との生活

 今日から、父の弟さんと2人で暮らすことになった。


 というのは、親がアメリカに転勤になって、私は、大学受験があるからって東京に残ることになった。アメリカの大学に入るって話しもあるけど、親がアメリカから日本に戻ってきた時に、娘だけアメリカに残すのも心配だってことみたい。だから、親は、父の弟さんの家で大学に入るまで暮らせって。


 そんなことってある? 弟さんは父とは少し歳が離れていて、35歳、独身。私は高校3年で17歳だから、18歳も違うけど、おじさんと女子高生の生活が始まった。


 弟さんは、あ、いいよって、あまり関心はないみたい。でも、ずっと女子校だった私には、いくらおじさんでも、男性と暮らすのって、どう接していいかわからない。お風呂入ってから、下着とかでぶらぶらできないし、窮屈って感じ。


「今日から、お邪魔かと思いますけど、よろしくです。」

「こちらこそ。仕事が忙しくて、あまり家にいないけど、自分の家だと思って、自由に過ごしていればいいから。」

「わかりました。私のこと、瑠花さんって呼んでください。」

「じゃあ、僕のことは実さんって呼んでもらおうかな。荷物、いっぱいあるけど、手伝おうか?」

「大丈夫です。じゃあ、しばらく、うるさいかもですけど、すみません。」


 下着とか、男性には見られたくないもの、片付けは私がやる。


 実さんは、おじさんだけど、まあイケメンかな。背は高くて、なんか学生の時にアメフトでもやっていたのかって感じの体つき。また、毎晩、仕事で遅くて、帰ってこない日もあった。


 ただ、いつも、何か考えているようで、私を見ることは少ないかな。多分、私みたいな子供には関心がないんだと思う。でも、一応、この家に住ませてもらうので、お礼として、最初の金曜日にお料理を実さんのために作ろうと思ったの。


「今夜、お礼としてお料理を作ろうと思うんですけど、早く帰ってきます?」

「そうだな、大丈夫だと思う。手間をかけてしまって、ごめんね。」


 そこで、早めに学校から帰ってきて、サラダ、パスタとか、チキンソテーとかを作って、テーブルに並べた。頑張ったわよね。綺麗にできた。喜んでくれるかな。


 夜7時になり、そろそろ帰ってくると思って待ってたけど、どんどん時間が経っていって、もう12時。もう待てなくて、眠ることにした。ダイニングの電気を消すと、真っ暗の中で、誰も食べてくれないお料理は寂しそうにしていた。


 お料理を作った時は華やかに感じた部屋も、今は、シンクの蛇口から出た水滴が落ちる音が響くぐらい、静寂さに包まれている。私、頑張ったのに。


 そして、朝起きてダイニングに行ってみると、実さんはまだ家に帰っていなくて、土曜の夜に帰ってきたの。


「ごめん、仕事が忙しくて、昨日は帰れなかった。1日遅くなっちゃったけど、これから、いただこうかな。」

「もう、パスタとか美味しくないと思うけど、どうぞ。私は、食べちゃったから部屋にいるわね。」


 帰らないんだったら、連絡ぐらいちょうだいよ。私、本当に頑張ったんだから。もう、ご飯を作ろうとか、実さんのために何かしようなんて考えないから。ご飯も、土曜日とかに1週間まとめて作って、冷蔵庫に作り置きしておくから、食べる時があれば、チンしてもらうルールにした。


 仲良くしようと思ったけど、実さんから見ると、私は子供で、女性とは思っていないんだと思う。別に、憧れる感じの人じゃないし、もう、おじさんだし。早く、距離感がわかって良かったかも。


 それよりも、私は、大学受験、頑張んないと。こんなこと気にしている時間はないわね。そして、勉強に明け暮れる毎日を過ごした。


 でも、今は知らなかったけど、実さんは、その時点で人間じゃなかったの。

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