第8話

Aランク冒険者であるアヤメとショーコの二人は冒険者ギルドの指名依頼で山道をあるいていた。


ゴブリン討伐の応援要請に応え都市に着いた時には緊急性を重視した領主が兵士を差し向けており仕事はないと思っていたのだが冒険者ギルドのマスターに呼び出され新規ダンジョンの調査をして欲しいと依頼を受けたのだ。


事前にわかっていることは武装したスケルトンとゴブリンがいるということだけだ。


「新規のダンジョンか。面白味にかけるわね」


「ショーコ。油断して痛い思いをしてもしらないからね」


「しょせんゴブリンとスケルトンだけだろ。武装してるつっても私達の敵じゃないね」




◆◆◆


土ゴーレムと協力しながら拡張作業をしているところに人間二人のダンジョンへの侵入を感知したので遠見で視線を向けてみる。


装備を見た所冒険者のようだ。


体の動かし方から推察するに中々の使い手であることが見て取れる。


二層目に配備しているスケルトンやゴブリンでは時間稼ぎぐらいしか出来なさそうだがお手並み拝見と観察を続けることにした。


◆◆◆




地図を見ながら山を歩き続けると兵士が封鎖をしている場所にたどり着いた。


封鎖している兵士に冒険者ギルドから渡されていた書類を呈示してダンジョンと思われる洞窟に足を踏み入れる。


洞窟の中は薄暗くはあるが灯りを必要としないぐらいには明るい。


「これなら松明は必要なさそうね」


「慎重に進もう」


しばらく歩くと早速、事前情報にあった剣を持ったスケルトンと棍棒を手にしたゴブリンと遭遇する。


スケルトンはカタカタ音を鳴らしながら距離を詰めてくる。


ショーコは何の躊躇いもなくスケルトンとの距離をつめ剣を振るおうとするがそこに何か飛んでくる。


咄嗟に剣でそれを斬ったのが悪かった。


何かは真っ二つに斬れ中の物が周囲に飛び散る。


目に痛みが走りくしゃみが止まらない。


「ちょっと何やってるのよ」


距離を取っていたアヤメは巻き込まれずに済んだがショーコは戦闘どころではない。


低級の魔物に飛び道具は使いたくないのだがこのままでは危険だと判断してクナイを投げつける。


クナイはスケルトンの頭に吸い込まれるように命中して剣を残しスケルトンは消滅した。


ショーコはその間に何とか立て直しゴブリンを始末する。


「油断した。ゴブリンが催涙弾を投げてくるとか予想できるか」


「このダンジョン一筋縄ではいかないかもしれないわね」


ショーコは腰につけていた水筒を取り出し目を洗い喉を潤しながら悪態をついた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る