第43話
「お疲れ何か元気ないけど……あ、もしかして
入れ替わるようにしてやってきた
「まあね……」
「
「そうだな……でも俺は仕方がないと思う部分はあるけどな……少ない成功体験に酔って引き際を間違えたそれだけだと思うんだ」
「結構毒舌なんだな」
「今日は良い汗かくことが目的なんだし他はどうでもいいかな?」
「違いない」
「流石は運動部だけあって羨ましいぐらい動けてたな」
「当たり前だ。って言いたいところなんだが
「そう言われると言われると悪い気はしないな……」
「だろ?
良くわからないけど言葉を濁される。
多分、俺の憑依前に
「ああアレね」
と知ったかぶりでお茶を濁す。
「もっと話にくい人だと思ってたら、運動も出来るし結構話しやすい。最近はボランティア活動にも力を入れているって
憑依前の
だから警戒し遠ざける。
髪を切る前にの
「成り行きだけどな」
「でも
「生徒会が管理してくれる時点で俺の手から離れたと思っていた。だけど生徒会長が認めてくれなかっただからやってるだけだよ」
「普通そんなことできないよ」
「そうかなー」
「そうだぜ」
「そろそろコートから出ないと先生にどやされるぞ」
「仕方ない動くか……」
コートに手を付いて立ち上がりたらたらと歩き出す。
入れ替わるように別のチームのメンバーとすれ違った。
「さっきの試合レベル高かったよなー」
「あんなプレイ見せたら女の子がキャーキャー言ってくれるかな?」
「
隣のクラスの一団はどうやら女にアピールしたいようだ。
一団の内の一人と目が合った。
「おい、行こうぜ」
すると明らかに俺を避けたいようで駆け足でこの場を後にした。
「なんだったんだ……」
「いや、判るだろ……」
こうして体育の授業は終わり俺達のチームは校庭ダッシュをギリギリ免れる事は出来なかった。
罰ゲームを免れたチーム?
決まってるだろ?
我らが主人公にしてボスキャラクター『
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
倉庫整理を終えた俺はいつも通り、
「倉庫整理してるんだって? でもその割には埃臭くも汗臭くもないわね」
そう言ってスンスンと鼻を鳴らす。
整った顔が近づいてきて、体温が分かるほどだ。
柔軟剤か香水の匂いもしてきてなんだか恥ずかしい。
「
理由を説明すると「納得が行った」と、でも言いたげな表情で近づけていた身体を離す。
「道理でいい匂いがする訳だ」
「
「そうかな?」
前世での接客業の経験から清潔感の極意とは、見た目と匂いだと考えている。
制汗剤やボディタオルなど様々なモノを駆使していたため、前世では「お前腋臭か?」と言われるほど、ケアには気を使っている。
「学校帰りなんか汗臭くて当たり前なのに……」
「まあ、シャワー室がない学校だとケアは大変そうだよね」
「私も中学時代は大変だったな……あ、そうだ今日の体育凄かったよ」
「ありがとう」
聞けば今日は『
男の俺には判らないが精神も肉体も辛いと訊く、ただでさえ精神が弱っている今、さぞ辛いだろう。
「ドリブルも凄かったし、女の子なんか授業そっちのけで
「声は聞こえて来たよ……」
「嬉しかった?」
「はい?」
「女の子にキャーキャー言われて嬉しかった?」
「まあそりゃ男だから……」
「……誰でも言いの?」
「そりゃあ可愛い子や好きな子に言われるのが一番うれしいけど……」
「けど?」
「……嫌われ者の俺が皆に認められた気がして嬉しかったんだ……」
「……」
「……」
「あ、そ……」
「自分で聞いて置いてその反応はないと思うんだけど……」
「うるさい。ばーか人の気も知らないで……」
そう言い放つと
「あ、ちょ……」
俺の静止を振りほどいてホームを走って行く……
小さくなる彼女の背中を見て俺はこう思った。
俺が彼女の傍に言いていいのか? 彼女を支えるべき人間、例えば彼氏が必要なんじゃないかと……
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