第45話
配布物の電子化――とは言っても順番に写真を取るだけのいわゆる自炊作業――も一区切りついた。
「何とか終わりそうだな……」
「ああ。それもこれも皆の御蔭だな」
私立
入部したてのこの時期に部活を休ませるのは忍びなかったのだが……
『あの部屋を整理するとなると人手必要だよね? 皆に声掛けておくね』と、
サブキャラクターの『山本・W・
しかし、『
クラスから彼ら『勇士』が浮いているのが気になる。
ふふふ、分る。分るよー
つまり相手と自分が妥協できる点、ウィンウィンの反対。ルーズルーズを探すことが必要になる。
だけど無理は続かない。
適度に自分を許せる “甘さ” が必要ななんだ。
――と前世の俺自身の経験を交えつつ、
出来る事なら
しかしこの世界は、ラブコメの世界。
主人公達にとって障害となるイベントを求めている。
「
「あ、悪い考えごとしてた……」
「判る。判るぞその気持ち……
「残業続きだったもんな……」
申し訳ないことに、
多分、
「この量の仕事を一週間で片付けなさい」と言う……。
裏の意図としては、先輩や同級生、クラスメイトを頼って共通の敵……つまり、
全く食えない
そんなことを考えていると山本さんがこんなことを言った。
「二人とも先に帰りなよ」
「でも鍵返さないと……」
「生徒会の
「はい。はい帰った。帰った」
俺達二人は顔を見合わせるとこう言った。
「悪いな先に帰らせてもらうわ」
「お疲れ」
「「「「「お疲れ」ー」つー」」」
二人して押し出されるように教室を後にした。
………
……
…
うちの学校は広い方く施設も整っている。
トレーニングジムや一年中使える温水プールがあり、冬季には近所の中学生に開放していたりする。
確かサブヒロインの一人が温水プールで、出会ってた気がする。
何となく、皆に悪い気がして校舎を避け待ち合わせの裏庭に向かう。
すると裏庭の方から男女の言い争うような声が聞こえた。
他人の恋愛事情のようなプライベートなことに首を突っ込むなど野暮なことだ。
しかもここはラブコメの世界、きっとそんな奴は馬に蹴られてしまう。
「あの、いまはそういうのいいですから……」
告白の現場など、告白した男の方も、告白された女の方も
公共の場ではなく人目の少ない裏庭で態々告白しているのだ。野暮なことはせず立ち去って頃合いを見計らって戻るべきだ。
電車に乗る時に成人男性が乗り込んできても、
それを提供できるのは “友達” ではなくもっと深い関係……。
そんなことを考えていると男の問い詰めるような棘のある声が耳に届いた。
「じゃあいつならいいの? 俺の何が不満なのかそのぐらい教えてくれない?」
駄目だ駄目だ。と判っていても壁に体を寄せ、聞き耳を立ててしまう。
バレないように壁際から顔を覗かせると予想通り、
幸いなことに二人とも俺に気が付いてはいないようだ。
「私は――」
「だからさ、とりあえずイヤだとかその程度ならまずは付き合ってみてもいいと思わない?」
どうやら周囲に気を配っている余裕は無いようす。
男子生徒は背を向けていて顔が見えないものの、タンタンと爪先が動いているを見るに興奮しているようだ。
男子生徒の背格好には見覚えが無い。
恐らく原作で登場したキャラクターではないのだろう。
しかし対する
「私はあなたの事をしらないし、知りたいとは一ミリも思っていないから――」
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