第25話 ブルーム・レフィアの過去③

暗闇の中で1人震える少年がいた。その子は、自分の父に連れられて反乱に加わったのだが

目の前で父を殺され、そのままどこかに去っていった

怖い、怖い……よう……あんなに強い人達が、一瞬で消し飛んで、撃ち抜かれて、玩具みたいに壊れていく

その有り得ない情景に彼は怯えていた。


───そこに


ひとり、悪魔が舞い降りる。鋼鉄の機体をから降りて優雅に……そして悪魔のような様相で


男の子の前にレフィアは立つ。彼女は銃を向け、問いただす


「さて?では貴方で最後ですわね?」


そう言いながらも彼女はほっとしていた。よかった、最後の一人がこんな子供で……もし彼が攻撃をして来たのなら……始末しなければならなくなる


「少年?貴方は自分が罪を犯したことを理解していますか?」


少年は震える顔で頷く。その様子を見てにこりと笑ったレフィアは


「復讐の連鎖を終わらせるにはこうするしかありませんの」


そう言いながら、少年にビームマグナムを向ける。

逃げることなど出来なかった。一瞬で少年は跡形もなく消え失せ、塵と化す


すると、遠くの方から魔物の群れが迫ってくるのがレフィアの目に写った。

おそらく誰か魔物を操る魔法の持ち主がいたのだろう。……あれがこの街に来るのも止めなければ


レフィアは銃を50丁並べる。丁寧に、確実に相手を葬り去るために


「では……我が身朽ち果てるまで闘争に染まると致しますわ!」


銃の音は未明まで続いた。それだけの大量の魔物を呼び寄せた反乱者たちもまた凄かったのだが


結局、それらを全て鎮圧し……彼女はゆっくりと自分の部屋で横になる。


────次の日


城が襲われている、という情報を聞きつけたブルーム家の面々が慌てて戻った時


そこにあったのは


血みどろでぐっちゃぐちゃになった城と、そこに至るまでに死体の山が積み重なる道


そして、死体を焼きながら血みどろの格好のまま朝食を1人で食べているレフィアの姿だった


レフィアから事の顛末を聞いた伯爵はため息を着く。そんなことが……と


母親はまず、レフィアにこんな才能があったことを喜びつつ、彼女がこの一夜に経験したことを思い抱きしめる


2人の姉はただ、呆然とその光景を見ていた


こうしてブルーム伯爵の城で起きた反乱は1人の少女の手で片付けられた。


こうして、伯爵は彼女を正式にブルームの一員と認めることにした



◇◇◇◇◇



私は知っている。たくさんの人々の嘆きと怒りを。反乱を起こすということがどれだけ罪深いことか。それでもそれを起こしたということが彼らの覚悟の重さであることも


例えこれが原因で私は地獄に落ちようとも、それについて後悔はありません


◇◇◇◇


私はため息をついてその記憶を閉じる。

リツは立て続けに人の記憶を見せられていた。

もちろん、自分以外も同じ様相だったようで




「あらあら?セピア……貴方どうしてそんなに狂いそうな顔をしているの?」


「ひ、ひいい?!!あ、貴女たちも見たんでしょ?みんなの記憶!……なんで、なんであんなに凄惨な記憶を見て……そんな大したことじゃない、なんて顔を出来るの!?」


「?わたくしはセピア、貴女の過去を見せられましたわ?」


「?……わ、私が見たのは……そこの女!……り、リツとか言うそこの人の記憶ですわ!………あんなに、あんな……」


いかん、確かに私の過去を見たのならばそんな反応になるのも無理は無い。

あれは刺激が強すぎる。シンプルに人が見ていいものじゃない。


慌ててなだめながら、それにしてもと私は思う。

あれだけの殺戮をして、それを自分を守るためと割り切って行ったレフィア。

彼女が強いわけはおそらく、奪われたものを取り返す、という点に全てをかけているからだろう。


レフィアはひとり、セピアの過去を噛み締める。

何故彼女がこんなに傲慢で、人々を見下すのかを


「セピア……あなたって人はどうしてそこまでアホなんですの?」


「だ、誰がアホよ!!」


たぶんわたくしならば、殴ってでも解決していた内容だ



ともかく、先程の死神的なやつはもう居ない。

おそらく、リツのチェーンソーが刺さっていることから見るに無意識下で彼女は殴っていたのだろう。


実際、リツは服がなぜがボロボロになって見えちゃダメな物が平然とむき出しになっていた

「破れない服って無いのかなぁ……?」


リツのその言葉にわたくしは


「あったとしてもかなり超レアな代物ですわね」

しょんぼりとしながらリツは


「レアものか…そんなものを探すのとか面倒くさすぎるっぴ」





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