二重人格者の恋はひとすじなわではいかない!

ぺけらんど

第1話 このまま仲良くできればよかった

僕にはもう1人の『俺』がいる。

それは僕の

憧れで

たった一人の

家族で

自分が1番大好きな

人物だった。

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「おはよ~ユウく~ん」

僕は雨喪璃 ユウ(あまもり ゆう)

そして彼女は希道ヒカリ憧れの先輩で絶賛片思い中だ

「先輩、おはようございます」

「あれれ~ユウ君目の下にクマが...もしかして徹夜で新作のあれしてたね?」

「そうです!よくわかりましたね先輩!」

「けどダメだよ~?夜遅くまでしてちゃ」

そう言って先輩は僕の額にデコピンをしてきた

「痛いです、先輩」

「ごめんごめん、で?面白かったのあれ」

「そりゃあもう!まずグラフィックが良くてですね、もちろんストーリーもいいんですがやっぱりグラフィックも欠かせない...」

「うんうん、よく精進しているようで!流石ゲーム同好会の一員だ!褒めてしんぜよう」

そう言うと先輩は頭を撫でてきた不意をつかれた僕は顔赤らめてしまった

「ちょっ、やめて下さいよ先輩、子供じゃないんだし」

「おっとすまんすまん、部下に褒美を与えるのは上司として当然の事かと」

「部下って...」

「じゃあ私今日やる事あるから先学校いってるね!」

「はい!先輩ではまた」

『おいおい、顔赤らめちゃって、そんなに大好きな子と会えたのが嬉しいのか』

「...なんだよレイ、いいだろ別に」

こいつは雨喪璃 レイ(あまもり れい)、僕の...もうひとつの人格だ

『まぁ俺は彼女いっからなぁ、羨ましいか?』

「そんなわけ、てか毎度思うんだけどさ、同じ容姿で彼女さんに会いに行ってるけど大丈夫なの?」

『んあ、大丈夫に決まってんだろ、二重人格なの説明しってっしよ』

「そっか...まぁレイがいいならいいよ」

『まぁお前はあの嬢ちゃんにベタ惚れだしなぁ~どうだ?俺がいっちょ口説いてやろっか』

「...余計なお世話だ」

『ハハッ、まぁせいぜい頑張れや』

「言われなくても」

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「おっす、ユウ君一緒にランチをイートしませんかぁ!」

勢いよく教室のドアを開けてヒカリが言う

「先輩...そんな強くドア開けなくても...しかも何故に英語」

「で!食べるの?食べないの?」

「はいはい、食べますよー」

廊下を歩いているとこんな声が聞こえてきた

「うわっ!あれが学園三大美女、希道ヒカリ...」

このとおり先輩は結構モテる、普通に美人

「どこをよそ見しているんだい?雨喪璃少年」

「少年って、別にゲームの事を考えてただけですよ」

「あの新作のことですかな、秘密基地についたらじっくり聞かせて貰いますぞ~」

僕はゲームが大好きで先輩もまたゲームをめちゃくちゃ愛してる

そんな僕達が密かに...ではないけど、やっているものそれがゲーム同好会だ!ゲーム好きが集まってゲームをしたりゲームを遊んだりする集まりだ。

といってもメンバーは僕と先輩の二人しかいないが

そして、秘密基地というのはいつもゲームの雑談や昼飯を食べる時に利用している倉庫だ

「そうですね、行きましょうか、僕も話したくてうずうずしてます」

「おうおう!そうか少年ならばいくぞ!秘密基地に!」

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「でさ...そこでギミックがあってそれがちょーむずくてさぁ!」

「ふむふむ、なるほど、面白そ~!いいな~私もやりたーい」

「先輩も買おう!」

「でもな~金が~てかユウ君いつも思うんだけどゲームの話になるとよく敬語外れるよね」

「えっ敬語外れてました?」

「うん」

「ゲームの話になるとどうしても敬語じゃ無くなっちゃうんですよね」

「まぁ私としては敬語がない方が話しやすくていいのだけれどもね」

「そうですかね...」

『ユウ俺腹減った変われ』

「レイ...俺の体で食ってるんだから腹減らないだろ!」

『嫌だ!嫌だ!食いたい!』

「ああもう!」

「どうしたの?ユウ君」

「あっ!いや先輩なんでもないですよ」

「私のエビフライあげよっか?」

「えっ」

(ほしい正直言ってめっちゃ食いたい)

『貰っとけよエビフライ』

(いや...でも)

「はい!ぶっぶー時間切れ~私が食べちゃいまーす!」

「なっ!」

『ほら、さっさと食べないから』

(そんな...先輩意地悪な、だけどそこも可愛い)

「よしっ!ごちそうさま!私昼も予定あるから先教室帰ってるね!」

「了解です!先輩」

ガチャ

...

ガチャガチャ

「どうしようユウ君、扉あかないよ...」

「え」

『おっチャンスじゃね?』

「うるさい、レイ」

(しかしチャンスだ、神様ありがとう)

その時

ガラガラガラ

扉が開いた

「え」

「ざんねーん嘘でした~顔赤くしちゃって可愛い~」

「っっ!ああもう!先輩!」

「にげろ~」

そうして先輩は走って逃げていった

「くそ...してやられた」

『ぷぷぷ、馬鹿だなお前』

「うるさいぞ、レイ、お前もチャンスだなんだの言ってただろ」

『てかめっちゃ顔赤いぞお前』

「ええぇ?そんなに?」

『嘘だ』

「っっ!レイ!この野郎!!」

『ハハッ、訂正するわ馬鹿でアホだなお前』

「この野郎~お前が俺のもう1人の人格じゃなかったら殴ってたのに!」

『やってみろよ、ばーか』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「まじであんな馬鹿げたやりとりしてたせいで授業遅れるところだった、誰かさんのせいでなぁ!」

登下校僕はそうつぶやく

てか誰かさんに向けて言っている

『そんな怒るなよユウ、お前がアホで馬鹿なだけだって』

「またそうやってバカにする」

『ごめんごめん、もうしねぇよ』

「わかってくれたならいいんだよ」

『てか今日の夜デートだから体貸してくれや』

「えぇ?わかったよ」

『サンキュー』

二重人格といったがこいつがいつからいてどんな時に生まれたのかもう覚えていない

ただひとつ憧れの思い出があるだけだ

親は昔に事故で死んだらしい。今は一人暮らしで誰か分からない親戚がいつもお金を振り込んでくれる

レイについては体はあけ渡せる、ただレイが体の主導権を無理やり奪ってきたことは無い、奪えないのか奪わないのか謎だ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「よし!それじゃデート行ってくるわ!」

『誰に言ってんだよ、レイどうせ俺も着いて行くんだし』

「まぁまぁ!いいじゃねぇか」

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「おっ!レナ!待ったか?」

「遅い、10分も待ったわ」

「へへっ、ごめんごめん」

彼女は志堂 レナ(しどう れな)レイの彼女だ

僕はこいつが嫌いだ

なぜなら性格が悪い

なんでレイがこいつといるのかよく分からない

恋は盲目とはよく言ったものだ

「じゃあレストラン予約しといたからいこうぜ」

「まってレイ、その前に~このバッグ欲しいんだけど買ってくれない?」

「えぇ?バックぅ?前にも買わなかったっけか?」

「お願い~」

『レイダメだ、やめとけ』

「今ちょっとお金無くてまた今度でもいいか?」

「ッチ、こいつはもう使えねぇか」

『今この女舌打ちしないかったか?』

「そんなわけねぇよ」

「レナすまねぇな」

「いいよ!全然!じゃあレストランいこ?」

「あぁ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ふぅー食った食った」

「ねぇレイ大事な話があるの」

「んぁなんだ?」

嫌な予感がする、まずい

『レイ聞くな!!』

そう言った時にはもう遅かった

「私達別れましょ?」

「あえ..?なんで..?おい!なんでだよ!レナ俺たちいい感じにやって来たじゃねぇか!」

「もう無理なの」

「なんでだよ!!いっぱいお前が欲しいのも買ってやったしお前が行きたがってた場所も連れてってやっただろ!!」

そう言ってレイはレナの袖を掴む

「きゃっやめてよ変態!!」

レイの手を振りほどく

「元々あんたなんか金ヅルとしか見てなかったのよ!途中から二重人格者とかよく分からないこと言い始めて!あなた頭おかしいんじゃないの!?」

そう言い残してレナは去っていった

...

「あぁ疲れたなぁ」

『レイ』

声をかけようとしたその時

「ユウ君?」

ヒカリがきた

「ユウ君!!大丈夫?こんなところでなにやってるの風邪ひくよ!」

「あぁ、そうだな...」

「ッッ!ユウ君」

ヒカリがレイのことを抱きしめた

『え...?』

「ユウ君辛かったね...なにか辛いことがあったんだね」

どうやらさっきの場面は見てなかったらしい

「大丈夫、大丈夫」

そうして慰められているうちにレイが泣き出した

僕はそれを黙って見てる事しか出来なかった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「もう落ち着いた?」

レイは頷く

「じゃあひとりで家に帰れるね、なんなら送ってあげよっか?」

「大丈夫だ」

「そっか、それじゃ私家に帰るね、あとさっき抱きしめたのは忘れてね?私もちょっと恥ずかしいから」

ヒカリはそう顔を赤らめて言い帰っていった

『レイ』

「あぁ!すまねぇ!ユウ!やっぱお前が惚れた女可愛いな!それじゃあ俺らも家に帰るか」

『うん』

この時僕はわかってしまったのだ

二重人格であるがゆえにレイの心が少しわかってしまう

そう

レイは

《ヒカリに恋をしたのだ》

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