第5話:葉見を前にしてガキみたいなことを思ってる俺。

もういくつ寝ないでも、明日から正月・・・だから今日は大晦日。


「圭ちゃん・・・お正月のお休み、たくさんあるからいっぱいラブラブ

できちゃうよ」


「まあ、一週間はゆっくり過ごせるかな・・・」


な、わけない・・・それは俺の甘い考え。

四六時中俺に俺にへばりついてるラブドールがいるからな。


んで、とりあえず俺は葉見はみるを連れて年越し蕎麦を食べに・・・

そのついでに初詣に出かけた。


蕎麦は神社へ行く途中にある「満腹亭」って料理屋さん。

そこの「蕎麦」が美味いんだ。

食べられない葉見には可哀想だけど俺は「蕎麦」が食べたかったからね。


で、俺だけ美味い美味いって蕎麦を食べて葉見と手をつないで神社へ。

たくさんの参拝客が初詣に来ていた。


賽銭あげて一年を感謝してから今年一年の無病息災、家内安全を願った。

神様の存在なんか信じてないくせに・・・神様に手を合わせたりすると

安心するって言うか俺も人並みって言うか凡人なんだって思う。


神社をあとにする前に葉見とおみくじを引いた。

俺は中吉・・・可もなく不可もなく・・・面白くもない・・・せめて凶なら

文句も言えたのに・・・。

葉見は・・・大吉・・・なにかいいことがあるといいな。


さてぶらぶら歩いて道草食いながらマンションに帰った俺たち。


で、その夜、葉見は俺と風呂に入りたがった。


いいけど・・・でもラブドールが風呂にななんか入っていいのか?

つうか、今までそんなこと考えたことなかったし・・・。

風呂に入らなくても体を拭くか洗うかしないとそのままじゃ汚れるのは

たしかだけどな。


葉見と風呂に入るのは今夜がはじめて。

そういやあ、この子を買って以来、葉見の裸を見るのもはじめてだった。

ちょっとドキドキした。


なんとなくヨソヨソしいのは俺だけ?。

彼女は自分の裸を俺に見られるのは平気みたいだ。

お互い湯船に入って・・・目の前に葉見の可愛い顔があって、で

おっぱいがあって・・・可愛いおっぱい、つい揉んでみたくなる吸い付きたくなる。


俺と一緒に風呂に入れて葉見は嬉しそうにしてる。

体を拭きながら鼻歌なんか歌ってる葉見。


風呂から出たら俺は葉見をなるべく見ないようにしてテレビをつけて

ソファに座った。

そしたら葉見が俺の横に座って俺の肩にもたれた。


「圭ちゃん・・・私ドキドキする」


「え?なんで?・・・どこか具合でも悪いのか?」


んな訳ないのは分かってる・・俺が情けなくなってるだけなんだ。

俺の方が浮き足立ってるだけなんだ、もしかしたらこれから起こるかも

しれないことに。


だめだ・・・・勇気出せよ。

どっちにしたっていつかはこうなる時が来るだろう?

今夜がいいチャンスじゃないか?


なにかを求めるように葉見は黙ったままつぶらな瞳で俺を見つめる。


分かってるよ・・・分かってる。

俺だって自分の気持ちが抑えられないくらい欲求がピークまで来てるよ。

でもさ、きかっけが掴めないんだ。


きかっけがさ・・・それと勇気が・・・。


それにもしエッチしたかっらなら、とっくにしてたよ。

俺はさ、そもそもラブドールを買った理由はエッチだけがしたくて買った

わけじゃないんだ。


マンションに帰ると可愛い衣装を着た君が出迎えてくれてさ、そんな君を

俺は眺めてるだけでよかったんだ。

なんて言うのかな。

たしかに想像はしたよ、可愛い彼女とエッチしている未来の俺のこと。


でも一方じゃ彼女を女神様みたいに大事にしたいって気持ちもあってさ。

エッチなんて絶対できない、そう思っちゃう自分もいたりするんだ。


なにガキみたいなこと言ってるんだって思うよな。

だけど、それが俺の性癖。

たとえラブドールでも汚しちゃいけないって気持ちが働いてしまう。


まだ葉見の魂が入る前のラブドールだった時ならいい。

でも今は葉見と言う存在になっちゃったから、なおさら手を出すことを

ためらっちゃう。


たとえばエッチさせて?って言っても拒否されたら・・・。

させて?って言ったらは葉見は泣くかな・・・「不潔!」って言ってドン

引きされないかな?


そうなんだ・・・結局元カノともそうだった。

元カノとは一度もエッチしないまま別れた。

それがそもそも別れる原因になったのかもしれない。


でも俺は現実もちゃんと認識している。

好きな彼女とセックスできるのは無上の幸せでだと知ってる。

ちゃんと葉見の気持ちに応えてやらないと彼女も失っちゃうかもしれない。


今夜、葉見は俺を待っていたのは分かってる。

だけど葉見のクチからエッチしてって言葉は出なかった。


で結局、大晦日の夜、葉見は俺に可愛がられることなく一人眠った。

俺も悶々とした気持ちを抱えて眠った。

葉見を横に抱いたまま・・・。


もう少し待って・・・ちゃんと君を受け入れるから・・・。


つづく。

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