第2章22話:苦悩

アリスティは野宿のため、いったん街を離れる。


街外れの雑木林の前で、夜を過ごすことにした。


(言葉が全くわかりません。いったいどうしたらいいんでしょう?)


アリスティは思い悩む。


通訳ができる人を探す?


探したところで、通訳を引き受けてもらえるだろうか?


お金もないのに……。


ならば、語学書を買う?


いや、買ったところで、文字が読めない。


そして、やはり書物を買うお金がない。


いったいどうすればいいのだろう?


(考えても仕方ありませんね)


頭をめぐらしても、ネガティブな思考しか浮かんでこない。


(もう、今日は寝てしまいましょうか)


なるようになる……


と考えることにした。


そうして、アリスティは思考を打ち切り、眠りにつくことにする。







翌朝。


ふたたびアリスティは街に入り、人に話しかける。


あわよくば、自分の言葉が通じる人がいないかと、望みをかけて……


しかし数時間経っても、誰とも意思疎通ができなかった。


昼になる。


アリスティは、ふたたび諦めて、いったん街を出ることにした。





昼過ぎ。


雑木林の前。


焚き火をおこして、捕まえたウルフの肉を食べる。


食べ終わる。


アリスティは、力なく、木にもたれて、座った。


(肉ばかり食べるのも、よくないですね)


人間は肉だけ食べて生きていけるわけではない。


いろんな食物をまんべんなく食べなければいけない。


特に、イモ、パン、米などから得られる栄養は、最重要だと、母から教わっている。


しかし、現在、安心して食べられるものが魔物だけだ。


そのへんに生えている植物を、食べられるかどうかもわからないのに、口にすることはできない。


「ジリ貧、ですね……」


状況が、どんどん切羽詰せっぱつまっていく感覚にとらわれた。


このままだとまずいのはわかるのに、手の打ちようがないように思えた。


「はぁ……」


自然、ため息が増える。


竹筒の水を飲もうとする。


しかし、カラだった。


イライラして、竹筒を投げ捨てた。


また、ため息をつく。

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