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でもついにこらえきれなくなって文は大きな声を出して笑った。
すると予想通りに少女はすごく怒り始めた。
「ごめん。本当にごめん」
と笑いながら文は言った。
でも笑いを止めることはできなかった。
すると少女はついに我慢の限界を超えたのか、海の水を片手で救うようにして、文にかけてきた。
文は海の水から逃げるようにして浜辺の上に転がった。
そんな文を見て少女はにっこりと(満足そうな顔をして)声を出さずに笑った。
それが海鳥文と望月美波の初めての出会いだった。
美波と出会い、話をして、すぐに美波が言葉を喋れないことがわかった。
その理由を泣いていた理由とおんなじように文は美波に聞かなかった。
その代わり美波の隣に座って、二人で一緒に夕焼けの海を見た。
「ここで海を見ながらなにをしているの?」と文は美波に言った。
星が出るのを待っている。
と美波は言った。
「星が見たいの?」
うん。
と言いたそうな顔で美波はうなずいた。
「夜になるまでずっとここで星が見えるようになるのを待っているの」
うん。そうだよ。
とスケッチブックに美波は書いてそう言った。
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