第3話 アバター作成2
―― チリリーン
再びのハンドベルの音とともに等身大の鏡が消え、六角形のパネルと膨大なスキルリストが目の前に展開された。
「すげぇ……。このスキルの中から好きなものをいくつでも選択できるのか?」
「出来ると言えば出来ますが出来ないと言えば出来ません」
つまりどっちなんだ?
「アンメモでのスキルは六角形のマスで構成されたスキルパネルにスキルを設定することで使用することが出来ます」
スキルは内側のマスから順に設定することができる。この設定数自体に制限はないが、最大MPをコストとして使用することになる。
そして、一番内側のマスの設定コストが2とすると、その外側、2番目のマスの設定コストは4、更に外側は8と倍々でコストが増えていく。
また、スキルの使用にもMPを使用するため、スキルを多く取得、設定した場合最大MPが少なくなるためスキル使用用のMPがなくなってしまうことになるらしい。
そんなわけでバランスを考えると大量に取得はできず、厳選して取得する必要がでてくるのだ。
「スキルは後からでも増えたり取得できたりしますので、最初は4つぐらいにしとくのが良いでしょう」
確かにレベル1のMPでは4つぐらいにしといたほうが良さそうだ……
「……既にスキルが3つあるんだが?!」
思わず声が出た。
『魔力操作』は魔人を選択したことで付随しているのはわかる。だが、残り2つのスキルは何だ?
「ほほう、
優秀……、いや、このスキルで優秀かと言われると微妙だ。しかも解除できないっぽい。
「……スキルを外したり、オフにする方法は?」
「通常スキルでしたら、MPを使用することで破棄することは可能です。また、オンオフを切り替えられるスキルはありますが、スキルパネルとしてオフにする機能はありません。また、種族スキルはパネルから外すことはできません。また、滅多にありませんが
なお、この空間内においてはスキル配置も含めて付け外し自由とのことだ。通常スキルであれば初期スキルを持ち込まないようにすることも出来はするが、通常で取得するよりはお得だったり、変化して固有スキルかし易いためそのままにしておくほうが良いらしい。
が、俺のこの2つのスキルは外すことができない。ということは、この2つのスキルは
「『釣り
「……っ、『釣り師』に『大言壮語』ですか。名称だけですと『釣り師』は職業スキルっぽいですな」
口元がひくついており、ちょっと目を逸らされた。『大言壮語』なんてスキル持っていると知られたくないし、俺も持ってるやつがいたらちょっと色眼鏡をかけて見てしまうかもしれない。
スキルの中には複数の効果を内包したスキルも多い、その一つが『職業スキル』と呼ばれるスキルで、その職業に関連する効果を色々内包しているそうだ。また、コストは高いが外れは少ないらしい。
「
そのプレイヤー固有の特性を持つように進化したスキルが
「ところで魔法関連のスキルがこのリストに無いように見えるんだけど、検索とかできる?」
ざっと見た限り魔法とか魔術とかが名前についたスキルが見当たらない。
「見つけたいスキルがあれば私がピックアップいたしますが、ここに表示されているのはアズ様が現在取得可能なスキルのみとなっています。なお、魔法が名前につくスキルですと『魔法陣』スキルを持っているプレイヤーがおりますが、これは複数スキルからの派生であり現時点での取得はできません」
おお、『魔法陣』スキルとかあるのか。是非取得したいものだが、派生スキル?
「スキルの中には取得条件として、前提条件となるスキルがある場合があります。このようなスキルが派生スキルとなります。簡単な例では『二連突き』から『三連突き』が派生するようなものです。この前提条件が複数ある場合があり、その場合元のスキルの配置も重要になります」
「このスキルパネルのどのマスに元のスキルが配置されているかってこと?」
「そうです。派生スキルは元のスキルに隣接するマスにしか生えません。ああ、生えるというのはプレイヤーの方々のスラングで、スキルが取得可能な状態になることです。2つのスキルから派生するスキルの場合は両方のスキルから隣接する位置のマスが空いている必要があるわけです」
なんだかパズルみたいだ。
「それ以外にも様々な条件がありますので、アンメモ世界で過ごす間にその条件を探されるのも良いかと思います」
「とりあえず、一つか二つはスキルを選んでおくか」
変更できないスキルが3つもあると最初の6つのスキル枠の半分が埋まっていることになる。かといって勝手に付与されているスキルだけで始めるのも心もとない。
「結局役に立つか非常に怪しいスキルを三つも取ってしまった……」
ロマンを求める心には抗えなかったとだけ言っておこう。ゼロではない可能性には賭けてみたいんだ。
「無事、スキル取得も終わったようですね。それでは名残惜しいですが、
「ああ、色々ありがとう。ところで、あっち《アンメモ》で会うことはあるのかな?」
そんなことを聞くとベルナールさんは微かに微笑んだ。
「ここでのことは覚えていませんが、もしかしたら会うことがあるかもしれません。その折には是非ともよろしくお願いいたします。それでは、良い旅を」
―― チリリーン
ハンドベルの音と共に足元に光る魔法陣が広がっていく。ふわりとした浮遊感と共に転移が行われた。
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