影
「ちょっ……えっ?」
「……は?」
「え、えっ……」
突然僕の口から出てきた下ネタに三人が驚愕で固まる。
「なるほど。お前もわかる口であるが。俺も思うぞ。やはり、女は尻と身長がデカい女しか勝たないよな」
そして、アルベルトとルスが呆然としている傍らですぐさま回復したダスクがノリノリで話に乗っかってくる。
「舐めるな、愚鈍。僕は己で女を図るなんて器量じゃない。僕はお前ほど器は小さくない。可愛いのであればすべて良しだ」
「ふざけんな、面食いとかいう一番浅い奴じゃないか。ルッキズムの権化とか普通に一番最悪だろ。それで器が小さいなどとよく言えたな」
「いや、すべての属性を受け入れられるけど、ただし美女、美少女に限るんだわ」
どんな属性でも僕は受け入れられる。
それがクチャラーでも、腋臭でも、それが可愛ければ。
橋〇環奈の腋が臭くても全然興奮出来るけど、それがブスであれば容認できない。
「お前……酷いだな、これほど清々しいルッキズムも珍しいでしょ」
「それでも、僕はほら。イケメンだから、僕に近づいてくる女は全員面食い。ルッキズムの権化。お互い様よ」
「なおのこと酷いわ」
僕とダスクは共に猥談で盛り上がる。
ここだけはまさに男子学生……異世界、貴族問わずやはり下のネタは受ける。
「……高貴な身分である私たちのセリフじゃないよ」
そんな僕たちの様子を見てアルベルトが心底呆れたように呟く。
「ふっ。僕たち男がいくら美麗に着飾っても一つ、幕をとってやればそこにあるのは女への興味だけよ。男はみんなエロ猿なんだよ!」
それに対する僕の答えは簡潔だ。
「然り!」
そして、それにダスクも同意してくれる。
「こうして市井を眺めるの良いよね。粗末な服を着て、体のラインが見えている綺麗な女の身体がよく見える」
「然りだとも、然りだとも」
傍から見れば一番厳つい口調をしている僕とダスクが共に二階のテラスから下にいる市井の女を眺める。
「あぁー。女を僕のベッドに並べて欲望の限りを尽くしてー!ピーして、ピーで、ピーピーピーピーピー」
僕はパフェと共に頼んだ紅茶を頼みながら放送禁止用語であろう下ネタを連発していく。
「ね、ねぇ……後ろ」
そんな猥談の中で、これまで黙っていたルスが震える声を上げると共に後ろへと指を向ける。
「えっ……あっ」
それを受けて後ろを振りむく僕。
「……へぇ、女の子とエッチなことをしまくりたいんだ」
「さ、流石に変態さんが過ぎるのは駄目だとお、思うなぁ」
「……」
「何を考えているの!?」
そこには生徒会のメンバーが。
アンバー、セーラ、レイナ、ミュートスの四人が揃っているのだった。
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