私立フラゴラ学園〜私だけの運命の王子様〜
野うさぎ
第1章 いちごのように弱い乙女
プロローグ
私は、この学園で自分の過去とオサラバして全てを変えるんだ。
そして、今度こそ運命の王子様を見つけるんだ!
私は、タルギ・ツァオメイ。
ニックネームは「タルちゃん」または「タル」
そのまま「タルギ」と呼ばれることもある。
好きな果物は、苺。
好きな飲み物は、いちごミルク。
好きな動物は、うさぎ。
好きな色は、ピンクと赤。
高校1年生の15歳。
身長は151、5センチ。
誕生日は、いちごの日。
母が外国人の大富豪と再婚したために、私は私立フラゴラ学園という、偏差値51のお嬢様学校に通わせてもらえることになった。
偏差値51は、全国的に見ると高い方ではないみたいだけど、成績がギリギリのラインで合格した私からはエリート並みに高く感じてくる。
名字も、外国人の父の方に変更となった。
私の義兄は、同じ私立フラゴラ学園に通う大学4年生の先輩シェアンベイさん。
私より7歳年上。
高身長かつ、イケメンの白人。
学園内では、私の先輩となる。
私は、義理の兄が受け入れられなかった。
シェンベイさんと、同じ学園だなんて。
女子の妬みなんて、面倒くさいってわかってる。
だから、シェンベイさんと他人のふりをする。
「きゃー、シェンベイ様」
「今日も、イケメンです」
女子生徒たちは、シェンベイさんのところに集まってくる。
私はそんな様子を見て、馬鹿馬鹿しいと思った。
女子なんて、イケメンだとか高身長とか、お金持ちというだけで群がる。
そして、一緒にいる女子たちは、みんなライバル。
私は、シェンベイさんを恋愛対象として意識したことはないし、ただのナルシストぐらいにしか思っていない。
私は好きになるとしたら、内面で選びたいな。
私の王子様は、そんな人であってほしい。
外見や身分で選んだら失敗することくらい、母を見ればわかる。
「タルちゃーん、こんなところにいたの?」
「うん、いたよ」
「反応そっけない。
これだから、男に相手にされないんじゃないの?」
「されなくていい。
モテたいわけじゃないし」
パラブロータスだ。
私は、彼女が苦手だけど、噂好きのパラブロータスのことだから、表面上の付き合いだけでもしてる。
避けられたとか、挨拶を無視しただけでも噂を流して、一方的な加害者にされる。
「パラブロータス、おひさ〜」
愛想よく、親友に見えるように振る舞う。
「ん、もう、タルちゃん。
パラちゃんでもいいのにみっ。
うちら、親友っしょ?」
「知らないよ、そんなこと」と言いたいのを、ぐっとこらえた。
「そうだったね・・・、パラちゃん」
「うちは、タルちゃんのいちごのヘアピンほしいなあ」
「あ、これ?」
私は右の前髪の方に赤のいちごのヘアピン、左の前髪にはピンクのいちごのヘアピンをつけていた。
「ほ・し・い?」
忘れた。
こいつは、たかる女だってこと。
「あははは、無理・・・」
「親友でしょうー?」
「これは、バイトを頑張って・・・」
「ありがとう」
断ろうとしたところに、パラブロータスはピンクのいちごのヘアピンを持って行ってしまった。
「返して!」
「え?」
「これは、私の!」
「うちのだよ」
「どうゆうこと?」
「うちの、ヘアピン。
親友なら、奪わないで」
どうゆうこと?
明らかに私の物だった。
いつから、パラブロータスの物になったの?
私はいちごのヘアピンをとられて、落ち込んでいた。
落ち込んでも、どうしようもないってわかっているけど、私の心はいちごのようにメンタルが弱い。
いちごのように弱く、そして甘い。
ヘアピンをとられたぐらいでって思われるかもしれないけど、私にとってはお気に入りで、大事な宝物。
パラブロータスなんかに、勝てるわけない。
私は目に涙を浮かべる。
私の涙の粒は、まさにいちごのようだ。
今は、体育館倉庫の裏にいるし、誰も見てない。
ワンワンと子犬のように泣かなければ、大丈夫だ。
「おーい」
後を振り返ると、見知らぬイケメンかつ、高身長の男の子がいた。
「いつの間に!?」
「誰かと思ったら、チビか」
「チビじゃないもん。
身長だって、伸びてる」
身長151、5センチしかないけど、それでも152センチ伸びることもある。
この学年では、私より低い人はいないみたいだけど・・・。
「背の順で、目立ってた」
「あれは、目立ってたの。
私の可愛さを学園でアピールしたくて」
「チビなのを?」
「この学園にいるのは、中学生もいるの。
小学校もあれば、幼稚園もある。
私はその中でも、小さいんじゃないの」
「嘘。
チビって認めれば、可愛いのに」
私は、そこで顔を真っ赤にして怒った。
「余計なお世話だし!」
「弱いなら、無理するな。
そして、強がるな。
弱音を吐いてもいい。
あの時のように、辛くなるだけだ・・・」
あの時のように・・・?
それって、どうゆう意味だろう?
「君は?
君は、誰なの?
同じクラスじゃないよね?」
私の学園は5クラスあるし、私は1年5組のために、他のクラスの顔や名前まで知らなかったりする。
「暴走族の彼女になるなよ。
他の男の物になったら、許さないから」
「言ってること、わかんないっ。
私、はっきり言ってくれないと、何もわかれない・・・」
「じゃあな。
また、すれ違ったら声をかけるから」
彼はその場を立ち去る時に「お気に入りのいちごのヘアピン、返してもらうように説得しとくよ」と振り返り、姿を消した。
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