妹の存在

 私は、あの日の記憶だけが鮮明に残っている。まだ5歳の私には刺激が強すぎたみたいだ。

私の妹はなくなった。いや、きっと殺されたという表現のほうがあってるのかもしれない。血のつながりのない父は、脚の悪い妹が嫌いだったのか、毎日のように廊下に立たせていた。そんな父を母は見て見ぬふりどころかご飯もろくに食べさせなかった。睡眠もとっていたのか定かじゃない。

 11月14日いつも通り廊下に立たされていた妹。私も一緒に立たされていた。きっと妹は限界だったのだろう。「眠たい」という言葉を父に吐く。その直後、父が叩いた衝撃で妹が玄関の扉に頭を打ち付けて意識がなくなってしまった。

 そこからは私も記憶がなく数日後に現場検証をしていた記憶はある。

何故か階段から落ちてなくなったことになっていた。まだ小さかった私は本当のことを怖くて言えずにそのまま時が過ぎてしまった。

 今もその父がのうのうと生きていると思うとなんでこいつが生きてて妹が死んだんだと思う。

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