第18話 ホストとゲスト


「だったらさっ!俺もカッコよくしてくれたっていいだろ!?何で俺だけいつもの半袖と半ズボンなんだよ!」


 語気ごきも荒く詰め寄ってくるケンタを、ふふ~ん♪と、かわしながら、桜は改めて紅葉と青葉、そして自分自身の服装チェックをした。うん、我ながら最高の出来映え♪


 三人が着ている全身スーツは、動きやすさを考えて創った体に張り付く様なタイトなデザインだった。女の子らしい可愛い刺繡ししゅうや飾りを要所に施していているのがポイント。



 うん!スラっとしていて背の高い二人に、よく似合ってる。やっぱりヘルメットは無くして正解だったね。だってヘルメットなんて被ったら、せっかくの美人が台無しだもん!


 真っ紅なスーツに身を包んだ紅葉は、大人っぽく見えた。

 彼女のつややかな体つきが強調されていて、真っ紅に咲いた薔薇ばらみたいに気高い感じが、すっごくカッコイイ!


 青葉は青空をイメージした真っ青なスーツだ。彼女の華奢きゃしゃな体つきと神秘的で美しい顔立ちが奇跡のバランスで、まるで童話に出てくる可憐な妖精みたい!


 桜自身も捨てたものではない。大好きな桜の花を思い浮かべてデザインしたスーツは、可愛らしさで満開!



 一方の、ケンタはというと……


 いつものボーダー柄の半袖と、いつもの穴の開いた半ズボン。


 うん――!いつものケンタだね!



「ねえ桜ちゃん、……この服装は、なぁに?」


 真っ紅なスーツ姿でくるりと回りながら尋ねてきた紅葉は、少し恥ずかしそうだった。ちょとだけ赤らんでいる顔が、なんとも可愛らしい。


「うふふっ、二人共すごく似合ってますよ!せっかく二人が私の夢の中に来てくれるだもん!普通の服装じゃ、もったいないでしょ?だから私、紅葉さんと青葉さんのヒーロースーツを、デザインしてみたんです」


「ヒ、ヒーロースーツ?」


「私があの人みたいに強いヒーローになるには、まだまだずっと遠い道のりかもしれないけど、だから恰好だけでもリーダーみたいになりたいと思ったんです。だって私達はリーダーとあの子をあの恐ろしい呪いから助ける為に集まったヒーローなんですよ?」


「ふふっ、なるほどね。確かに服装は大事だものね。私も今日、桜ちゃんと出会った時に巫女服を着ていたでしょう?あれだって神がかった力と対するにあたり、自分自身を鼓舞こぶしていたのよ」


「――そう、なんですか?確かに、お寺の子なのに何で巫女さんの服を着ているのかなって思っていたんです。そんな理由があったんですね。

 ふふっ、でも嬉しいな。同じこと考えてたんですね、私たち―――」


「ふふっ、本当ね。私も嬉しいわ」


 そんな会話で紅葉と笑い合っていると、涙目のケンタが桜の肩を揺さぶった。


「何だよ、それ!それじゃあ、俺は仲間じゃないって言うのかよ!?」


「うっさいな~!自分の背中の、エクス何とかって剣を見てみなよ?」


 あん?っと訝し気いぶかしげな顔をしたケンタが背中の愛剣『エクスカリバー』を引き抜くと、シャリン……と研ぎ澄まされた音が辺りの空気を震わせた。


「うおぉぉぉ―――!なんじゃこりゃあ!? めちゃくちゃカッケェーっ!!」


 ケンタの握るその剣は、太陽の光をキラリと反射して荘厳そうごんに輝いている。まさに伝説の剣――『エクスカリバー』のようだった。


 興奮が治まらない様子のケンタに、桜が笑顔を向けた。


「―――ふふっ、どう?気に入った?」


「あ、ああ!でも……どうしたんだよ、これ?」


「どうって……ただの木の棒より、そっちの方がケンタに似合うかなって……思ったから……」


 目を白黒させたケンタが、照れた笑いを浮かべている。やっぱり嬉しそうにしているケンタを見てる時が、桜は一番幸せな気持ちになる。


 ホントはケンタにもヒーロースーツをと考えていたのだが、何だかしっくりくる服が思い浮かばなかった。まあ、理由は大体分かっているんだけどね―――


「ふふっ、いつものケンタくんが桜ちゃんにとってのヒーローってことなのよね?」


「ちょ――っ!ちょっと紅葉さん!それ言っちゃダメ!」


 胸の中に大切に閉まっている気持ちを紅葉に暴露された桜が顔を真っ赤にしていると、突然に青葉が声を上げた。


「―――皆さん、あれ!あれを見て下さい!あのちょうが、向こうに沢山集まっています!」

 

 驚いて青葉の指している方向に視線を送ると、確かに遠くに見える平野へいやに赤いもやがかかっている。あのちょうの大群が、群れをなして集まっているのだ。


「すごい大群………っ!どうしたのかな?」


「……あの場所に、お狐様がいらっしゃるのかもしれないわ。行ってみましょう」


「うんっ!」 「はい!」 「おう!」


 紅葉の言葉に、全員が頷いた。きっとあの場所に、お狐様がいるに違いないなかった。そして赤いもやに向かって四人が駆け出す前に、紅葉がこう付け加えた。


「みんな、ここが桜ちゃんの夢の中だってこと――― 忘れないでね」



 ちょうが集まっている場所に向かいながら、桜は夢の中で出来ること、そして出来ないことについて思い返していた。紅葉と青葉の二人に教えてもらった内容は、大体こんな感じだ。


 まず桜とそれ以外のメンバーでは、出来る内容がまったく違う。桜は、この夢の中ではホストの立場で、それ以外の全員はゲストの立場だ。ホストはこの夢の主人で、ゲストは招かれた客という立場になる。


 自分自身が創り出した夢の中では、ホストは何でもありの存在だ。


 自分がこうしたいと思えば何でも出来るし、何にでもなれる。だからホストは夢の中では向かうところ敵なし状態だ。しかし唯一出来ないことがある。それは外から来た客、つまりゲストに直接的な変化はもたらせないということだ。


 例えばさっき桜が三人にしたように、服や持ち物を桜の思うように変化させることは出来るが、ゲスト自身を変化させたり、ゲストの心を思うようにすることは出来ない。


 一方のゲストは、夢の中でも現実世界とまるで変わらない。


 他人の創り出した夢の中に来ているだけなので、現実世界で自分が出来ることしか出来ないのだという。ただし夢の中なので何かが起こったとしても、死んでしまったり怪我をしてしまったりすることはないそうだ。



 ……つまりは、ね。


 この作戦が成功するかどうかは、この夢の主人である私しだいってことだよね?


 ―――責任、すっごくすごく重大ってことだよね?


 うぅ~!なんだか、すごく緊張してきた………!


 もしも、お狐様にもう呪うのを止めて下さいってお願いしてもダメだったら、どうしたらいいの?



 そんなことを考えながら、桜は走っていた。


 そしてずっと遠くに見えていたちょうの群れが近づくにつれて、緊張はどんどん増していく。胸の鼓動が速まって、もう押しつぶされてしまいそうだ。


 あの場所にお狐様がいるのかと思うと、怖くて仕方がなかった。どう考えたって、自分には荷が重い。



 でも―――!  でもね―――!


 それでも、わたし!



 それでも、桜の足は前に出つづける。なぜって?なぜなら、桜の周りには―――!



 桜の周りに、みんなが集まっていた。気が付いたら仲間たちが、桜の不安な心に寄り添うように周りに集まっていた。


 そんな桜の不安を振り払うように、全員が並走してくれていたのだ。



 まるで桜を導くように、紅葉が前に―――


 まるで桜を守るように、青葉が後ろに―――


 そして桜を支えるように、ケンタが横にいてくれる!


 


 そんな仲間達に、桜はありがとうを伝えた。






          第二章〈終〉


         第三章へ続く―――









 ☆あとがき☆


 こんにちわ!🌞、こんばんわ🌙!

 今日もこの物語のページを開いて下さり、本当に本当にありがとうございます!


 そして――!たっくさんの応援を、いつもありがとう!

 引き続きの応援―――どうぞ、よろしくお願いいたします。(*_ _)ペコリ



 前話からの続き――――桜の夢の中に集まった仲間達。目指すは、お狐様!

 ここで二章が終わり、三章が始まりまーす!


 二章は、恐ろしい呪いが中心に物語が進みましたね。そして―――!我らがヒーローたちが遂に桜ちゃんの夢の中に集結しました!第三章「夢の中の激闘」編では、どんな困難がヒーロー達を待ち受けているのでしょうか!?―――乞う、ご期待でっす!


 ―――と、いうことで(笑)


 ☆と💗そして――作品とわたくし虹うた🌈のフォローで、どうか四人の応援をよろしくお願いしま~す!(^_-)-☆

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