第332話 自分の価値×他人からの評価=楽しい日々 10
〜 side 佐藤 渉 〜〜
〈〜〜!?〉
「おい叶、何か聞き取れない声を出して直ぐに椅子が倒れる音が聞こえたが…そんなに嫌だったのか?」
「どこの鈍い主人公だお前は?あまりの有名人すぎてビックリしたんだよ。公式マークの付いたアカウントだしな、当然の結果だ」
「ふふふ、やっぱり最初にらんぷちゃんを勧めて正解だった。このコメントの反応速度と内容を見れただけで私はナイスアシストしたと誇ってもいいよね?٩( 'ω' )و」
俺がスパチャを使い封魔らんぷにコメントを流すと予想外に驚かれたので少し傷ついていた。その隣で俺と同型だが迷彩色のノートパソコンを使いながら笑っている叶と漫画肉とカワウソのシールが貼られた同型でオレンジ色のノートパソコンを使っていた一二三にガッツポーズで反応される…というか夏美の奴この魔改造ノートパソコンを量産したな?マジでその辺の行動力と知識と腕は俺以上だな。
〈〜っつ〜…いや、それどころじゃ無い。〈狩友〉の渉さんの公式アカウント!?しかも我とお話を希望している、嘘でしょ!?…嘘だよね?〉
叶達を見ているとらんふちゃんがようやく動き出し、何やらタイピングをする音が聞こえてきた。そして俺のアカウントの所に通知が来て、そこにカーソルを持って行くと『封魔 らんぷからビデオ通話を求められています。許可しますか?』の文字が浮かび上がった。
「…このパソコン、カメラは内蔵されているよな叶?」
俺はそう聞くと叶は笑顔になる。
「おう、夏美からは
「渉がゲーム配信や雑談配信、顔出し配信とかをはじめようとしてもこのパソコン一台でできるようにした」
って聞いてるぜ?」
「なるほど、至れり尽くせりって訳ね」
俺は叶とそう話すとその通知をクリックしてから通話の許可をクリックする。すると『通話相手の画面は表示されません、それでもいいですか?』の通知も来たのでそれも許可をクリックする。
「…あ、コレで繋がっ…
〈〜!?!?!?〉
また奇声を出して倒れたし」
黒い小さい画面がパソコンの画面の端に出たのでヘッドセット越しに相手と繋がったかどうか確かめる為に声をだしたら、またらんぷちゃんは奇声をあげて、その後直ぐに椅子が倒れる音が聞こえた。
~~~~~~~
:本物!?
:マジで異常じゃん!
:うっは、盛り上がって参りました!
:釣りかと思ったらご本人登場w
:激レアキャラきたー!!
~~~~~~~
配信している画面も見たがコメントは大盛り上がり、更に配信画面に俺の顔まで映っている。
確かに雑談配信の詳細の所に『顔出しをしてもらえるなら自己責任で雑談に顔出ししてね♪』
と書かれていたから別にそこは気にしないが…早く雑談しないと制限時間の3分が経過しちゃうんじゃないかな?
〈…ハァ…ハァ……本物だ、本物の渉さんだ!〉
「いや、公式マークが付いているから本人だよ…って認識で良かったよな叶?」
「おう、合ってるぜ渉?」
「普通に草、渉以外はそのアカウントを使えない時点で本人確定だよ」
〈叶さんに一二三さんの声も聞こえる!?〉
どうやら俺の声以外にも叶と一二三の声も通話に乗ったらしい。らんぷちゃんは更に驚いているしコメントも更に速度が早くなるしスパチャがチラホラと出てきた。
〈お、落ち着け我よ…平常心、平常心…〉
そんな状況でも何とか落ち着こうとしているらんぷちゃん、やはりテレビCMとかに出る人気者は切り替え速度が早いみたいだ。
〈…よし。では改めて渉さん、初めまして。我の名前は封魔らんぷだ。お主はなぜ我と話そうと思ったのか言ってみよ!〉
そして完全に意識を切り替えたらんぷちゃんは俺にそう言ってくる。
だから俺も今回の企画の主旨を話す事にした。
「ハッキリ言うなら他人から見た俺の評価の再確認の為…だな。俺はその辺が無知で無監視、正直に言ってあまり気にしなかった。だからそこを心配した叶と一二三にハメられて断りきれずに現在調査中って感じだ」
〈な、なるほど…想定外にダウナー系のイケボ…耳が幸せ…!〉
事情を話すとらんぷちゃんの言葉に一瞬聞き間違えかと思ったが、コメントに『でた、イケボ大好きらんぷちゃん』『よ、甘党でASMR中毒者!』とか書いてあるので多分コレが平常運転なのだろう。
〈…うぉほん!なるほど、確かにそういう事なら簡単だ。主人たちよ、自分が思う渉さんの評価をコメントに書いておくれ!因みに我の評価は『ダウナー系のイケボが最高。是非ASMR配信をして欲しい、もしくは監修させて下さい』じゃ!〉
「欲丸出しだな、一歳知りたい情報と違いすぎていっそ清々しいわ」
〈おっふ、イケボのツッコミありがとうございます!〉
らんぷちゃんの言葉に思いっきりツッコミを入れるがどうやら逆効果だったようだ。しかしコメント欄には参考になる俺への評価が沢山流れているから取り敢えず目的は果たせたと思う。そんな中、いきなり通信が切れて配信画面からも俺が消える。
〈あ、しまった。もう3分過ぎちゃってたか…せめてもうちょいイケボを堪能したかったな、ヤンデレ系のダウナー彼氏物のASMRとか絶対に人気がでる声だったから是非やってほしかったのに!〉
「誰がやるかよ、重い感情はもう十分味わってるわ」
らんぷちゃんが通信が切れたのに気づき、切れた理由が時間切れなのに気がつくと自分の欲を更に解放した。俺はそれを聞いて聞こえるはずのないツッコミを入れてからまた叶の方を見る。
「なあ、叶。もう十分…
「まだまだ配信者はいるぜ?情報は偏ったらだめだよな渉?」
…鬼、悪魔、叶!」
俺が言わんとする事を察したのか叶は更に続ける様に指示を飛ばしてくる。その言葉に俺では拒否できる権限が無いので俺はまた渋々他の配信を探し始めるのだった。
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