第2話


「うわ汚っな。」


私、桜川瑞希さくらがわみづきはいじめられていた。

泥水を浴びて、トイレの中に閉じ込もり惨めな気持ちになる、これはいつまで耐えればいいのだろうか。


泥水でびしゃびしゃになった私を見て、同級生で私の1番嫌いな新井水崎あらいみさきが言う。

トイレから出てきた私をただひたすら笑う。私が何かしたわけでもないのに。


母親から買ってもらった大事な制服を汚され、体操服に着替える。

家に帰ったら洗濯しないと。

父親は3年前に他界した。それから1人で私を育ててくれている母には感謝しか無い。だから余計な心配をかけたくない。

いじめられていることについては隠しておかないと。


まだ高校1年の2学期。あと半分以上もの学校生活があるなかでどう耐えていけばいいのだろう。


次の授業は社会だ。この体操服姿をどう説明すればいいのか。

教室に入る。


「桜川。その格好どうしたんだ。」


クラスメイトの半分以上が私の姿を見てクスクスと笑っている。


「すみません、ちょっとお茶を派手にこぼしてしまって。」


「そうか、次からは気をつけろよ。」


社会の前田先生からそう言われ、席に座る。

私の隣には誰もいない。ほんとは男子の人がいるけど今は席を移動している。


昼休みの時間になり、私は教室から出ていく。

屋上で昼ご飯を食べるためだ。


前、ご飯を教室で食べようとしていると新井にお弁当を奪われ

「なにこれお前が作ったの、うわ不味そう。」と言ってお弁当の中身を全て床に落としたことがあるからだ。


ここには誰も来ないから安心してお弁当を食べることができる。


「なんだここで不味い弁当食べてたんだ。」


背筋が凍る、新井の声だ。

またお弁当を奪われ、床に落とされる。


「じゃあ後片付けよろしくね〜。」


またこうなった。床に落とされたお弁当の中身を拾う。


もう私はどうすればいいのだろうか。







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