591.どっちも道を譲らない!
〈ぴ、ぃぃぃいいいいいい……っ!〉
勢い込んで踏み込んだ、
その一歩目で早速
——おっも……!?
質量と、水に溶けないことによる反応のしにくさ。
体の運動の全てがトロ臭くなった。
スペック足りてないPCで起動する、
ハイクオリティグラフィックのゲームみたいに!
——これが珪素の肉体……!
“
前面に回した尻尾を振り切って、
パチパチと
だったら俺も“尻尾”を使う!
〈ひょ、おおおぉぉぉぉぉぉ……っ!〉
ダンジョンケーブル!
引き出したそれの表面にガラスの表皮を纏わせて、
先端がクレーンのフックみたいになったそれを、
横振り!
一掃!
反応装甲と珪素の硬さで完全防御!
そこに相手の左拳が来る!
俺が遅くなったのを見て、
速さで決めにきた!
悪くない判断かもしれないが、
〈それはさっきまでの俺と一緒だろォ!!〉
噴火加速したパンチを尖った右肩で受ける!
反応装甲、高圧魔力噴射、硬度、質量、弾性、
その全てで受ける!
力を吸収する、その性能は、
柔らかいものより、すぐ壊れるものの方が上。
弾力の層より外側で、「砕ける鎧」が全てを引き受ける、
それが最も衝撃に強い防御!
骨が折れやすいことで、内臓を守っているというのと同じ
そして割れたところは、また魔力操作で修繕すればいい!
受け切る…!
受け切った!
同時にこっちの反対
持ち上がるプレートを魔力ジェットで避けながら、
胸にヒット!
魔力爆破も含めた二段衝撃!
砕けた部分から噴火反撃!
だが拳の形は崩れない!
俺の体はもう、その程度で壊せない!
風呂の温まり具合を見るみたいに、
溶岩流の中に腕を突っ込んで、
殴り抜く!
〈グァアアアアアア!?〉
〈ヌルいぞ!お前の肌!〉
“
絶対防御は成立しないと悟った!
有効な戦い方は分かっている。
五芒星の補助を受けていても、
こんなものは1、2分が限度。
奴は
動きも遅いので、
逃げ回っていれば判定勝ちは確実。
だがそんなものは、〈面白くない〉!
ならば残ったやり方は一つ!
攻撃被弾時の噴火は、
全て自らの加速として逆用するべし!
防御を考えず、
壊し尽くす方向に転換!
右の半身から大量噴火!
左腕とプレートを横薙ぎ!
それを右腕でガードするのを確認し、
開いたボディに左脚キックを回し入れ、
蹴り
〈グォオオオオオオッ!〉
〈足が上がりませんの?おカタい
確かに右脚を上げての防御は間に合わなかった。
だがここで脚を動かすのを止めると、
その次の行動は更に遅れる!
それを使って、
このまま攻め!
ここはお得意の“アレ”で行く!
構え直そうと下ろされた相手の左脚、
その上に右足を、
人の足の形をしている部分は、
先端を回転させて下向きに!
何やら爆発してるようだが知らん!
魔力と珪素でゴリ押し解決だ!
大きな二又の爪で相手の足首をがっちり掴んで、
吹き戻されるのも防ぎながら、
膝上に高圧魔力噴射と、
右肘落とし!
「お得意のアレ」とは、〈痩せ我慢だああああああ!〉
そいつの足の甲から地面までを、
〈ヌグヌウウウウウウウ!!〉
〈お前は、ヤワいみたいだなあッ!?〉
なるほど、超近接での殴り合い!
フットワークも封印!
極限まで削ぎ落されたルール!
竜と人がグーとグーで気合の
悪くない!
面白い!
相手が見せた興行の才に牙を鋭くし、
怒気で焼き切らんばかりな
全身に迸る赤が濃さを増す!
〈
ここで乗らねば女が
装甲の安定性を敢えて捨て、
爆発力に
スーパーヴォルケーノ!
大量絶滅すら伴う火山災害、
及びそれを
古代ローマの人物から名を取って、
ウルトラプリニー式噴火!
地下数km、特に
大地の圧力によってガスが溶け込んでいる。
急減圧によってガスが発砲、爆発することで、
火砕流が半径数十kmを覆い生物を死滅させ、
数千km3クラスの噴出物を吐き、
その頂点は高度約50km、
成層圏界面を超えて中間圏に達する!
山ごと吹き飛ばし、
クレーター状の地形である“カルデラ”だけを残すこの現象。
彼女の物語はそれだ!
大地が生んだ熱と圧力の脅威!
今それを全開にして、
自分が変形崩壊する事を承知で、
右の巨腕を、
噴火加速!
叩きつける!!
〈ボオオオオオオオッ!!〉
〈10万年早い!破壊で勝とうなど!〉
ガードに使った左腕が叩き割られた!
そのまま敵の右ストレートが胸に突き刺さる!
そして噴火!
かなりの衝撃が内部構造を揺らす!
こっちから右で打ちにいく!
手首から先をドリルスピン!
プレートと腕で防ぎ、
その後の爆発で両者欠損!
相手が反動で右拳をもう一度打ち込む!
それに先んじて、
カウンターとして合わせられた、
さっきまで俺の体の後ろに隠していた左拳!
たしかに俺は、左腕を破壊された。
だが関係ない!
割れたところは有り余る珪素で繋ぎ直し、
作り足す!
内臓も丸々取られたわけじゃない!
破れたのなら修復すればいい!
俺に連続攻撃を叩き込む為に、
プレートを下げていたその方向から、
横顔目掛けてドリルスピンを、
スマッシュヒット!
〈ガガガガガガガガガガ!〉
〈どうした!
彼女は獰猛に
再生が思った以上に早い!
敵を甘く見ていたつもりはないが、
認めよう、
認識が足りなかった!
たった今掘られた顎、
そこから垂れた体液を固体化!
潜熱を喉奥に溜めて発射!
敵の顔からの高圧魔力で散らされる!
だが視界は奪った!
〈そのニブい体で!付いてこれますの!?〉
赤熱左手刀!
肉体が硬くなった、
その意識に引っ張られることで、
体外魔力が鈍感になっているのでは?
そう思い試したが、
あっさり反応してきた!
〈よろしい!〉
ならばと左手を斜め噴火によるドリル回転!
そいつにできるなら、
彼女にできぬ道理ナシ!
ガードの右腕を
高圧噴射を越え、
胸に
火口を指先のみの範囲に狭めての噴火!
凝縮した破壊力で、
貫徹!
〈ウググヴヴヴウウウ!!〉
〈通しましたの!〉
硬い層の更に奥の反応装甲部と、
その下の柔らかい部分も使って止める!
歯に神経が通ってるように、
ガラスの肌でも感触がしっかりある!
俺がこの体に慣れてないところを狙ったのだろうが、
いいセン行ってても的外れだ!
普通に熱いし、痛い!
神経質で
体外魔力の敏感さだって保持している!
だからこういうことも、
HEAT弾型魔力を作ることも出来る!
相手の左脇腹で起爆!
その傷をほじくる為の右手を前に、
出すと見せ掛けて引っ込めて、
引いた勢いで左手アッパーカット!
プレートを含めた防御意識が、
左半身に持って行かれていたから、
守りが間に合わない!
俺の攻撃が刺さる!
だったらプレートを上げた反動で右半身を前に!
敵の意識が攻撃に切り替わったそこに、
右のアッパー!
双方共に同時着弾!
クロスアッパー!
そして、ドリル回転!
〈〈グゴヴォアアアアアアアッッ!!〉〉
よろけながらすかさずの右!
弾けた勢いで右を返す!
再びの右で防御を削ってから左!
左から続けざまの右で翻弄!
衝撃を
左で壊した部位を狙って右!
右からの左と見せかけて右!
右の次に胴体噴火から左!
高圧噴射を利用して左!
頭からマグマを吐いて右!
右!魔力弾!高圧噴射!左!
左!プレート!噴火!左!
左!HEAT!右!
右!噴火!噴火!右!
右!
右!
左!
右!
左!
右!
左!
右!
左!
右!
左!
右!
意地の正面衝突!
フィストバンプ!
〈どおおしたイリィィガルゥウウウ!
〈
これぞ闘争ですのオオオオ!!〉
ハードパンチャーVSハードパンチャー!
対等!
両者
気迫と気迫の
呼応し合うかのように
だが趨勢は、徐々に傾きつつあった!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます