宮坂空音・宮坂天音
「初めまして。
一番上の姉が
「君が謝る事じゃないよ。
見たところ、天音は中学生くらいかな?」
「はい、先日十五歳になりまして、春からは高校生です」
空音と天音は二人とも、水色と桃色のワンピース姿に白いタイツを合わせた双子コーデで揃えている。
伊吹は侍女が運んできたコーヒーに口を付け、小さくため息を吐いてから空音へ抗議する。
「あのさ、さすがに僕も中学生に相手を務めろとは言いたくないんだけど」
「何故です? 天音はすでに女性の身体になっておりますし、伊吹様と三つしか違いませんが?」
空音はぜひうちの妹も夜のお相手を務めさせてほしいと、伊吹に紹介する為に天音を連れて来たのだ。
伊吹としては一つ下である空音でさえやや抵抗を感じるのに、中学生を紹介されて戸惑っている。
前世の記憶がある伊吹にとって、二十代から三十代半ばあたりの女性が一番落ち着く相手なのだ。
「私ではダメでしょうか……?」
うるうると瞳を潤ませた天音に見つめられ、居心地が悪くなる伊吹。
「姉に寝室でのお作法は一通り習いました。恥じらいは見せつつもはしたない声は我慢せず、時には大胆に……」
「ちょっと待った! 空音、そういう事を中学生に教えるのはどうなんだ?」
伊吹が空音の倫理観に対してツッコミを入れるが、この場合間違っているのは伊吹である。
「女性として子を成す準備が出来たとはいえ、男の子を授かる可能性は低いですし、その分多くの子を産めるよう、可能な限り早くから殿方にお呼ばれするのが望ましいのですわ」
空音は語ったのは
男性に対しては諸々の税金が掛からないので、当主は男性である方が有利になる。男性名義の資産を女性達が守り、増やすのだ。その体制を維持する為には、次の当主を産み、育てる必要がある。
「それに、お姉様方がおられる前では言い辛いですが、私をお相手して下さった時、この身体を大変お喜び頂けたと思っているのですが」
空音が上目遣いで発したその言葉に、伊吹は何も言い返せない。
「それに、可愛い妹が歳の離れたおじ様のお相手をすると想像しただけで、寒気がするのです……」
これについては空音の適切ではない表現が含まれる。空音が伊吹に抱かれている以上、妹の天音が他家の男性の相手をする事はあり得ない。
自分が懇意にしている女性の妹が、別の男性の手によって汚されたと知ったら、大抵の男は心的外傷を受ける。勃起不全を起こす可能性まである。
従って、空音の発言はかなり際どい。もし
「……想像しただけで吐き気がしてきた。ごめん、ちょっと横になるよ」
伊吹が立ち上がり、口を押さえてフラフラと歩き出す。その姿を見て、空音は自分がやらかしてしまった事に気付く。
「伊吹様、大丈夫です! 私が妹を守りますので伊吹様は何もご心配される必要はございませんの!」
伊吹の腕に縋り付く空音を見て、天音も慌てて後を追う。
「私は伊吹様以外に身体を許すつもりはありません! どうかご心配なさらないで下さい!!」
二人のあまりの慌てように、伊吹が思わず吹き出してしまう。
「……伊吹様、私達をからかわれたのですか?」
「えっ!?」
「いやぁ、空音が僕を脅すような事を言うから、ちょっと悪戯したくなってね」
伊吹の言葉を聞いて、空音はぷくりと頬を膨らます。
「私はこちらでご奉仕してもよろしいのですが」
「止めて。フクロウやワシがいる前で下半身を晒す勇気はないよ」
伊吹は元いたテーブルへ戻り、改めて空音と天音に自分の気持ちを話す。
「天音を受け入れるのは問題ない。けど、自分の気持ち的にまだ早いというのは譲れない。もし妊娠して、身体の発育が十分じゃなかった場合、母体にも子供にも負担が掛かってしまう。
それは避けたいから、天音はせめて空音と同じく十七歳になった後にしてほしい」
「伊吹様のお気持ちは十分理解致しました」
空音が理解を示した事で、伊吹はこの話は終わったと思ったのだが。
「ですが、私の時にはなかったこれがございます。これさえあれば、天音が妊娠する事はございません」
空音は自分の鞄からポーチを取り出し、さらにその中から避妊具が収められいるフィルムを取り出した。
「え、何で空音がそれを持ってんの?」
「宮坂家がマチルダ様のご了承を得て、大量に生産致しました。これさえあれば、身体が出来ていようがいまいが伊吹様のお相手を務める事が可能です!」
宮坂家としては、より多くの娘達を伊吹のお手付きにする事が出来て、マチルダとしては伊吹の許容範囲年齢を引き下げる事が出来る。
まさにウィンウィンというヤツだ。
「おのれマチルダ……」
伊吹は空音と天音の姉妹に引きずられて行くのだった。
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