第4話:またまた無事生還。


「なるほど・・・魑魅魍魎なあ」

「たしかにな紅は鬼じゃし・・・ワシは妖怪じゃからのう」


「おじいちゃん、感心してる場合じゃなくて、ここから早く退散しなくちゃ」


「福ちゃん歩ける?」

「さ、私たちの世界へ帰りましょ」


「ばあさん世話になったな・・・助けてもらったの二度目だよな」

「ええんじゃ・・・気にするな・・・早く行け」


「おばあちゃん、ここには着たくないけど、また会えるといいね」

「そうじゃの・・・福、紅ちゃんはいい嫁になるぞ」


「嫁って・・・」


紅はほほを赤く染めた。


「鬼嫁ってか?」

「鬼は余計だよ、福ちゃん」


「いかん、早く行け・・・魑魅魍魎がやってくるで・・・」


「わ〜ほんとだ・・・何人いるのよ」


「任せとけ、あいつらはワシの陰節棍いんせつこんで薙ぎはらうゆえ、おまえらは先に行け。


そう言うと鴻鈞道人こうきんどうじんは空中から変わった棍棒を出した。


「おじいちゃん・・・ありがとう、やっぱり連れてきてよかった」


「早く行け!!」


俺と紅はばあさんに別れを言って黄泉比良坂を後にした。

森を抜け道に出ると外は暗くなっていた。


「でも、よかった・・・上手くいって」


「紅、ありがとうな、苦労かけるな」


「これが逆の立場でも福ちゃん、私を生き返らせに来てくれたでしょ?」


「俺の命に代えてね」

「紅、抱きしめてもいいか?」


「うん」


「こら、おまめらまたイチャイチャしおって」


「あ、じいさん無事抜け出せたんだ」

「あたりまえじゃ・・・ワシはドジは踏まんのじゃ」


「じいさん、ありがとうな、今回もまたじいさんに世話になったな」


「おまえらとワシは腐れ縁で結ばれとるようじゃのう」

「さてさて・・・中華料理屋に帰るかの」


そう言うと鴻鈞道人こうきんどうじんは空飛ぶ豚に変身した。


「ほれ、ふたりとも乗れ」


「振り落とされるなよ・・・一気に帰るぞ」


豚になったじいさんは俺たちを乗せてめちゃ早い速度で「蓬莱山ほうらいさんまで帰って行った。


今回は俺はなにもしていない、天婦羅童子に無抵抗のまま殺されただけ。

情けないったら・・・愛しい女も守れないって。

鬼や妖怪と違ってそれが人間の限界か?


ぜ〜んぶ紅とじいさんがやってくれたこと。


おそらく人間の中で生き返ったなんてありえないことをやったのは俺くらいだろう。

だいいち死返玉まかるがえしのたまなんて誰も知らないからな。


「でもその勾玉があるってことは、よこしまな考えのやつが知ったら大変なことに

なりかねないよな・・・勾玉ばかりじゃなく十種神宝とくさのかんだからなんて代物は核兵器より怖いだろ」


そう言うものは伝説の中に埋もれてる方がいいんだ。


で、俺と紅とじいさんにもいつもの生活が戻ってきていた。


店が終わって紅のまかないの激ウマ天津飯食ってから俺たちはいつものベランダ

にいた。

そこが俺と紅が寝るまでの今日1日の出来事を語り合う時間だった。


つづく。




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