"徒花"リルカ ー対魔法少女制圧作戦担当魔法少女部隊「徒花」ー
朝定食
プロローグ
魔法少女には時々、イレギュラーと呼ばれる存在が現れる。
ヴェイグリアと戦うべく、変身によって好戦的となり、心の蓋を外される
それをイレギュラーと呼ぶのだ。
そうならないよう、メンタル管理や一定の喧嘩などの騒動の仲裁役、ヴェイグリアの調査・戦闘など、多岐の仕事を担うものとして、通称「魔法少女課」と呼ばれる魔法少女のための組織がある。
しかし、イレギュラーの"面倒"を見るのは「魔法少女課」の仕事にはない。
では、それは誰の仕事か?
答えは簡単で、ー誰かたちーだ。
ーーーーーーーーーー
「いやはや、これは凄い。やはり『徒花』の方々の戦闘は少々火力が過ぎますね。」
2人の魔法少女課職員、そのうちハネッ毛の茶髪の方が地面に幾つも空けられた道路舗装のためのアスファルトの陥没の前に腰を下ろし、砕けたそれの一部を拾いながら苦笑する。
「……仕方ないんじゃない。あの人たちの仕事は……相手が相手な訳だから……」
バギャッ!!…
「確かに。おっと、今のは『徒花』の方が勝ちを決めた音ですかね。」
職員はこの荒れた少し先、音のした方向に視線をずらす。
そこには頭から血をこぼしながら立つ、変身姿の上からカーキのコートを羽織る、槍を持った黒い三つ編みの女。そして地面に寝転がされ、変な向きに曲がった腕を押さえながら、その女を口汚く罵る魔法少女。
面倒くさくなったのか、三つ編みの女はタオルを相手の口にかませて物理的に黙らせる。
「……あ、あの人。……リルカさんって言ったかな。」
もう1人、やけに白いショートカットの職員がボソリと呟く
「お知り合いで?」
「いや……。たまたま、『
「誘われたんですか?これまた、初めて知りましたねぇ。しかし……ほほぉ、ーーさんを誘うだなんて、お相手方もお目が高い。流石は…」
そんなことを話していると、三つ編みの女は槍をしまうと、コートと爽やかなライトグリーンと白のツートンのフリルスカートを揺らし、2人のほうへ歩く。
「おわられましたか。お仕事、疲れ様です。」
「後は任せました。」
茶髪の職員のお辞儀に、切れ長で四白眼の目をチラリとも動かすことなく、その言葉だけを吐き捨てるようにして彼女の横を通り過ぎてゆく。
そうして女は、左右の綺麗な三つ編みとは対照的に、残りのざっくばらんにしたままのボブの前髪をかき上げ、額に流れた汗を腕で拭うと、アイドル衣装を思わせる明るい雰囲気の変身を解いた。
この、人を寄せ付けない様な雰囲気の彼女こそ、物語の主役、加賀リルカである。
そして、これはリルカを始めとした、"イレギュラー"たちを狩るための集団「徒花」たちの謳われない物語。
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