　私の出演するドラマ『ライトニング』は英国で記録的な視聴率を叩き出し、たちまちモンスタードラマと呼ばれるようになった。このドラマには幼い頃から舞台を中心に活躍していたクレア・ハスキンズと、モデルとダンサーの両親を持ち、子役の頃から映画やドラマに引っ張りだこのミア・パスカルがダブル主演するとあって、放送前から大きな注目を集めていた。

　ドラマの内容をざっくり説明すると、生まれつき見えないはずのものが見え聴こえないはずの声が聴こえるミア演じるブロンドの霊感少女レットが、魔物狩りの一族の血を引いたクレア演じる銀髪のクラウディアという少女と出会い、悪しき霊や魔物を退治していくというストーリーだ。生家に伝わるサーベルで魔物を華麗に切り裂くクラウディアと、ギンチェスターという老人から譲り受けた魔物を殺すことができる銃を持ったレット。両者の人気は完全に二分している。

　私の役どころはというと、クラウディアの死んだ幼馴染のテイラーの役だ。20歳という若さで謎の死を遂げたテイラーの魂はこの世に留まり幽霊となるが、レットにだけは姿が見え話をすることができる。何故幽霊の役を選んだのかとオーディションで監督から訊かれた時、私はこう答えた。「生きた人を演じるよりも楽しそうだから」。