04-02

 濃厚な血の香り。嗅ぎ慣れすぎたはずのその香りは、しかし今までとは明らかに違っていた。意識の目を凝らした私の前に現れたのは、美しい少女だった。数多くの人間を見てきた私だが、その中でも群を抜いて整った面立ちの少女だ。豪華なドレスとその立ち居振る舞いによって、彼女が高貴な身分であることはすぐに分かった。そして同時に、恐ろしい魔女であるということも。私が今まで見てきた、いかなる魔女とも異質である。彼女の力は、これまで見てきた数多くの力ある魔女たちをも確実に凌駕りょうがする。剣である私が、明確に恐れおののくほどのその。純粋に恐ろしいと感じた。恐ろしい――呪いの剣である私がそう感じたのだ。

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