第8話 いきなり体験⁉︎守護者やってみる
「ほい、毎回毎回同じ訓練に授業じゃ飽きるだろ!」
「いや、飽きてまs「そこでだ!お前らにはE商店街にて守護者を体験してもらう!引率は俺が責任を持とう、しっかり働け」
謎にやる気に満ちた北原さんの説明を聞いていると、段々と仕組みを理解してきた。
「つまり僕たちがそのE商店街をパトロールして、問題があったらその地域担当の守護者に報告するか、北原さんに連絡すればいいってことですか?」
「あぁ、俺はいつでも待機所で見守っといてやるよ!場所はE商店街を抜けてすぐの交番だ」
さぼりたいんだな…
五人全員が思った
そんなやる気に満ち溢れている風の北原さんは、僕らをせかしながら詳細な事柄を説明してくる。
「一応守護者としていくんだから装備は大切だぞ、コスチュームをそれぞれ用意してあるからちゃんと着て来い。俺は外でまってる」
僕らはそれぞれ専用の更衣室に案内された。
「で、僕のコスチュームがこれと…ケンカ売ってます?」
僕以外の四人はそれぞれのトレードカラーを基調とした戦隊もののスーツを少しごつくしてかっこいい感じになっている。
例えばエンマ君は赤を基調としており、白い籠手や主張しすぎない金色がちりばめられたベルトなどがいい味を出している。背中には燃えるような模様の装甲、前には金属特有の光沢を放つアーマーと中心に太陽のように光るコアのようなものがあった。
冬柄さんのコスチュームも、やはり戦隊ものを意識しつつクールに仕上げられている。白い上着のようなジャケットを肩まで落とし、その下からは黒いタンクトップが顔をのぞかせており、お臍がでているショートなタイプだ。
下は短パンで、足にナイフが数本入ったベルトがまかれていた。
子狐さんは黄色を基調としたコスチュームで、こっちも戦隊ものを意識している。さらに和風をイメージした布地でありながら、動きやすいように工夫がされていた。
背景の色を黒、模様を黄色やオレンジをつかっている。ごちゃごちゃしているイメージがないのにも関わらず、派手さを兼ね備えた綺麗な模様が施され、金の狐の紋様が帯に施されている点は、子狐さんのイメージにフィットしていた。
波動君のコスチュームはまさに豪傑、戦隊ものは当たり前だがとにかく硬そうな硬派なイメージだ。深い緑色で金属性の光沢を放つ鎧を纏わせているようだ。
そんなそれぞれカッコイイ見た目、実用性もある装備や性能を兼ね備えている。
そんな中…
「なんで僕だけタイツなんですか?しかも申し訳程度の青いラインがさらに腹立つんですけど…」
そう、僕のコスチュームは首まで覆う全身タイツのようなものだ。
全体は黒だが申し訳程度に青ラインが入っている。
「あー、そんなことないぞ?そのタイツは絶対に破けないし、柔軟性もあるんだぞ…?」
「そうなんですね、それなら……許せるかッ!なんなんだよこのクソダサいコスチューム‼普通に不審者だよこれ!まだヒーローのスーツみたいにちゃんと模様とか工夫があったら許せるよ?」
皆の視線は僕に突き刺さり、必死に笑いをこらえるエンマ君が憎たらしいほどだ。
「何なのコれ?たしかに青のラインは入ってるけどさ、なんで縦なのさ!しかもこの黒と全く似合わない明るすぎる青!しかも印刷が雑だからかタイツを伸ばしたら下の黒見えちゃってるじゃん!うえからプリントした青だったら入ってないほうがましでしょ!」
「…まぁ、しょうがないだろ?時間がなかったんだぁ」
北原さんは申し訳なさそうに言う
「ここの技術だったらこの程度のコスチューム三日あればできるはずだぜ」
そこにニヤつきながらエンマ君が解説してくれた。
「へー、三日ですか…おっかしいなぁ僕が入ってもう一週間以上たってますけど?」
「あ、えっと、え~」
だらだらと冷や汗をかきながら顔を逸らす北原さんを睨みながら、僕はいたって冷静に尋問を開始した。
「もしかしてですけど…、僕の分忘れてたんじゃないですか?」
「え、い、いいいいや?そんなわけ…なぁ?」
「図星ですね?ネタは上がってんですよ!北原さん‼︎僕のッ!コスチュームはぁ!緊急で間に合わせたパチモンなんですよね‼︎」
僕の真剣な問いかけに屈した北原さんは、頭を掻きむしりながらそれを肯定する。
「悪かったって、忘れてたんだよお前のコスチューム申請。まぁ、しばらくはその恰好でたのむ…」
「この格好でですか?」
僕は全力で抗議の視線を送りつつ、全身タイツマンなんかになりたくない一心で問いかける。しかし悲しきかな思いは届かず…
「残念だが……決まりなんだ」
その言葉を最後に、僕は膝から崩れ落ちるのだった
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がやがやとにぎわう商店街は活気に満ちている。
にぎわっているのはいいがまだまだ寒く、手先がジンジンするような寒さに思わず僕はポケットに手を突っ込んだ。
マフラーや上着で寒さ対策をしているが、意味をなしていないのではないかと疑うほどだ。これで0度を下回っていないなんて、きっと世界の温度計が壊れているに違いない。
僕は寒いのが苦手だ、嫌いを通り越して大嫌いと言えるほどだ。
そんな僕が寒い中商店街まで来ているのは授業の一環、武者になるために必要だからである。
北原さんの指示によると、私服姿で守護者の先輩と共に商店街を警備すること。
接敵もしくは戦闘が必要な場合胸元のバッジを起動し、コスチュームに換装、準備ができ次第敵の殲滅が目的である。
ジャッジなどの怪物は人が集まる場所や、人が多い所にいきなり出現しやすいので、この商店街の警備はいい経験になるだろう。
集合場所に到着すると、チームメイトの四人もそろっていた。
「お前熱くねぇのかその恰好…」
「むしろ寒いくらいだよ…」
エンマ君が僕の厚着を見てドン引きしていた。そんな視線で見ないで欲しい、寒い物は寒いのだ。
「やぁやぁ!集まっているね!」
すると突然背後から声が聞こえた。
「やぁ!俺は
振り返った矢先にいたのはオレンジ頭のさわやかイケメンである。体育会系と言われれば納得できるスラっとした筋肉、白い歯がまぶしい笑顔
戦隊もののレッド
それが彼の第一印象だった…
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