第114話

ポール貿易の艦隊はあっさりと親衛隊により捕縛された。

馬鹿が1名ほど騒いでいるそうだが、解決すべき問題があった。

「はじめまして。銀河帝国艦隊情報局所属、レティシア・カーマイン准尉であります」

「俊・マーキュリーです」

「情報局ねぇ・・・。なんか嫌な予感しかしないんだけど」

マーチェはそう言って渋い顔をしている。

「私に与えられた命令は周辺の宇宙海賊と取引をして拠点を割り出すことです」

今現在、宇宙海賊は増加の一途を辿っている。

どれだけ退治しても現れるということは何かしらのバックアップがあるということだ。

「拒否権はないんですよね?」

「拒否することは可能ですが、その場合は何かしらの不都合が生じるかと・・・」

その不都合というのが色々面倒を運んできそうだ。

「俊様。ここは協力したほうがよいかと」

「そうだね・・・。情報を共有してくれるなら力になりましょう」

「そう言っていただけて嬉しく思います。早速ですが拠点の相談をさせてください」

現在ステーションは開発段階だ。

一等地を与えるのは難しいが誰も使っていない場所を割り振ることは可能だ。

「そうですね・・・。第48ポートなら提供できますが」

俊はレティシアの端末に情報を送る。

第48ポートは現在はステーションの端に位置する。

だが、まだまだステーションは増築する予定なので将来的には好立地になるはずだ。

「ご配慮いただきありがとうございます」

レティシアは満足してくれたようでほっとする。

「お礼にこちらが現在、掴んでいる情報を提供させていただきます」

端末に送られてきた情報を確認する。

情報ではハーリー星系の端のほうに小規模な拠点があるようだ。

費用対効果を考えれば艦隊を送り出してまで討伐するには効率が悪すぎる。

「これはまた・・・。悩ましいね」

「小規模なのはそれを狙っているのでしょうね」

「正規軍を出してまで討伐するメリットが薄いですね。それは、冒険者も同じでしょう」

冒険者としても大して美味しくない依頼となれば依頼を出しても受けてくれない。

だが、1つ1つは規模が小さくともそういった拠点がいくつもある。

「ちなみに、拠点と拠点は連係しているのかな?」

「場合にもよりますが、普段は不干渉ですね。宇宙海賊にも組織があり、よほどのことがない限りは協力はしないようです」

「ちなみにこちらの星系にちょっかいを出してきてるところは?」

「いくつか候補はありますが、情報が不足しています」

「わかり次第教えてくれると嬉しいな」

「微力を尽くします」

馬鹿は1名混じっているが、ポール貿易は貴重な情報源となりそうだ。

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