第68話

「いやぁ。勝ちましたね」

「勝ちましたね。じゃないわよ。ハルカ、あんたねぇ・・・」

「えっ?何か問題ありました?」

「大ありでしょうが。あの状況で突っ込む必要なんてなかったじゃない」

「えっ~。戦艦を落とすにはあれが一番早かったので・・・」

最後は小声だ。

「まぁまぁ。無事だったからいいじゃないですか」

「楓もお疲れ様。いつ見ても見事な戦闘機の運用だったわ」

「あぁ・・・。言い争っているところ悪いが、手伝ってくれないか?」

今、アズマ達は倒した海賊艦隊の回収をしている。

それは、他の冒険者も同じだ。

「は~い。すぐ行きます」

「お仕事。お仕事っと」




明石の指令室で映像を見ていたエルフィンドは思わず呟いた。

「あんた達なんなのよ・・・」

「あはは・・・。人に無茶するなって言っといてあれはないな」

ハルカの突撃には正直ヒヤリとさせられた。

カタログスペック上は問題ないとはいえ、心臓に悪い。

「ふぅ。とりあえずジョーンズは討伐されました。エルフィンドさんはどうします?」

「どうしますって言われてもねぇ・・・。乗ってた艦はなくなちゃったし廃業かしらね」

「それなら、提案があるんですけど」

「提案?」

「エルフィンドさん。よかったらうちで働きませんか?」

「雇ってくれるの?」

「えぇ。A級冒険者としての貴方の実績なら大歓迎です」

「それ嫌み?私、貴方達が簡単に倒したジョーンズに負けてるんだけど」

「あれは、物量で押しつぶした部分もあるので・・・。貴方の技術をうちの子達に教えていただけませんか?」

「そこまで言うなら引き受けてあげる」

「ありがとうございます」

「我儘を言って悪いけど、専用艦を造ってくれると嬉しいのだけどね」

「それなら、安心してください。大抵の艦なら用意できると思いますよ」

そう言って、俊はデータをエルフィンドに送る。

「ええっと・・・。えっ?嘘でしょ・・・。なんで、正規軍の最新技術まであるのよ!」

「ちょっと、特殊な生まれでして・・・」

「特殊って・・・。まぁ、いいわ。お金さえ払ってくれるなら頑張らせてもらうわ」

「よろしくお願いします」



海賊艦の回収作業を終え、ハルカ達が帰還した。

「皆、お疲れ様」

「蓋を開けてみれば大したことありませんでしたね」

「いやいや。ハルカはしばらく謹慎ね」

「まぁ・・・。そうなるわよね」

「うんうん」

全員の承諾を得て、ハルカの処分が決まった。

「改めて紹介するね。A級、冒険者のエルフィンドさん。うちで働いてもらうことになったから」

「よろしく」

「よろしくお願いします」

こうして新たにエルフィンドが仲間に加わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る