第50話

ハーリー星系から地球はかなりの距離があるそうなのだが、艦に装備されたワープ装置であっという間に地球に到着した。

「ワープ装置ってすごいね」

「限られた艦にしか装備が許可されていないからね」

「そうなんだ・・・」

「さて、夜を待って、地球に降りましょうか」

宇宙関連の技術は、まだまだ、未発展の地球ではあるが、少しでも発見されるリスクを下げる為に、夜を待つらしい。

その間、色々な話をした。




見慣れた街に戻ってきた。

久しぶりに感じる地上は懐かしい感じがする。

「う~ん・・・。やっぱり、地球はいいね」

「残るなんて言わないでよね」

母であるアルシェントは父であるカールにそう釘をさす。

「わかってるよ・・・。色々、片付けたのに放りだしたら元の木阿弥だからね」

楓が自分の家のインターホンを鳴らす。

「はい?どちら様?」

「母さん。私・・・」

「楓・・・?楓なの?」

そう言うが早いか、玄関が開き、楓のお母さんが飛び出してくる。

「ごめんね。心配かけて」

楓と楓のお母さんが抱き合う。

俊達はただ、それを見守っていた。

落ちついたのか、楓のお母さんが声をかけてくる。

「ごめんなさい。取り乱したりして」

「いえ、詳しい話をしたいから、上がってもいいかしら?」

「どうぞ」

楓の家に上がり、父さんと母さんが事情を説明する。

それを聞いても、楓のお母さんは怒ることはなかった。

「事情はわかりました。何か、隠している事があるとは思っていたけれど、宇宙人だったんて・・・」

楓のお母さんと母であるアルシェントの付き合いは長い。

地球に来たばかりで戸惑うことばかりだった俊の両親に色々、世話を焼いてくれたのが、楓のご両親なのだ。

「それで、楓はどうするの?」

「私は、宇宙にいたい」

「そう・・・。考えを変える気はないのね?」

「うん」

「貴方達が望むなら、迎え入れる準備はしてるわよ?」

「ありがとう。でも、夫と相談させてちょうだい」

「わかったわ。私達もしばらくはこっちにいるから連絡してちょうだい」

それだけ言って、俊達は楓の家を後にした。




俊達は久しぶりの我が家に戻ってきた。

「なんだか、ほっとするなぁ」

「そうね」

「俊。悪いけど、コンビニで適当に食べ物を買ってきてくれないか?」

「わかったよ」

この家を出るときに食材とかは処分してしまったらしい。

今日の夜の分と明日の朝食を用意しないといけない。

コンビニは歩いて10分ぐらいのところにある。

俊は通い慣れた道を歩き、コンビニに向かった。

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