第20話

明石はインストールされたデータをもとに、設備のアップデートを行った。

これにより、飛躍的に能力が向上した。

「元々、おかしな性能だったけど、さらにおかしな性能になりましたね」

「確かにね・・・」

現在、俊達は失った艦と戦闘機の補充を行っている。

工作機も追加で作り、その造船ペースを上げている。

今までは、明石や、大型輸送艦に工作機を格納していたが、工作機専用の母艦も造る予定だ。

アカネ、シオン、フィーネには交代で大型輸送艦に護衛をつけてステーションに運んでもらい、余った資源を売ってもらっている。

もっと艦の数に余裕が出てきたら、それぞれに採掘作業をしてもらうのもいいかもしれない。



数日が経ち、俊とハルカはステーションに来ていた。

スターホーネットの艦長であるアズマから呼び出されたからである。

以前、アズマときた居酒屋の中に入る。

「お待たせしました」

「おう。先にはじめさせてもらってるぜ」

言葉通り、アズマは既にビールを手にごくごくと飲んでいた。

「それで、相談というのは?」

「銀河帝国艦隊がきて、治安が良くなったのはいいんだが・・・。仕事がない」

銀河帝国艦隊は勤勉だ。

野良の宇宙海賊を積極的に取り締まっている。

だが、冒険者組合の所属艦と役割が被っている。

「今までは安全の為に、採掘ギルドに所属する人が雇ってくれていたが、最近ではそれもない。貯えのある奴はいいが、金に余裕のない奴は離れて行っている」

「それは仕方ないのでは?」

「戻ってくる奴もいるだろうが、銀河帝国艦隊が去った後が問題だ。今の戦力だと、手が足りなくなる」

元々、ハーリー星系の戦力は充実していたとは言い難い。

「そこで、頼みがある」

「なんでしょうか?」

「お前のところの艦を売ってくれ」

「艦をですか?」

「あぁ・・・。ステーションの防衛力が上がれば融資なんか設けやすくなる。このステーションは出来たばかりで設備が整ってない。資源はいくらでもあるんだ。資金が何とかなれば一気に発展するはずだ」

「僕は受けてもいいかなって思うけどハルカはどうかな?」

「私も、悪い話ではないと思います」

「そうか・・・。受けてくれてありがとう」

「それにしても、アズマはさんはこの星系に何か思い入れでもあるんですか?」

「この星系を見つけた人は、昔、世話になった人なんだ・・・。俺はその人の力になりたい」

「誰なんですか?」

「カール・マーキュリーさんだよ」

俊はその名前を聞いて驚いた。

同姓同名の別人とは思いずらい。

「カール・マーキュリーは僕の父です・・・」

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