第16話

俊はあえて、ステーションで資源を売らなかった。

それは、戦場で消耗品や戦闘機を作る為だ。

完成品は場所を取るが、資源の状態であればスペースに余裕が出来る。

明石と工作機は大型輸送艦に載せていた資源で戦闘機を新しく作りだしていく。

完成した戦闘機はある程度、数が集まったところで前線に導入する。

相手の戦闘機がさっとスペースを作る。

そのスペースに相手の防衛拠点からレーザーが飛んでくる。

こちらの戦闘機がそのレーザーで撃墜される。

前の発射から、間隔があいたということは連射はできないのだろう。

冒険者組合の所属艦もただ、見ていたわけではない。

少しでも距離を詰めるべく、前進していた。

早くも、足の速い艦同士で激しい撃ちあいがはじまっている。

海賊の民間船ベースの艦は冒険者組合の所属艦とぶつかっている。

俊の所有する艦の方が脅威だと思われたのか、海賊の駆逐艦と軽巡洋艦が陣形を組み前に出てくる。

距離が縮まり、激しい、ミサイルとレーザーの撃ちあいになった。

シールドドローンは仕事をしているが、駆逐艦に被害が出ている。

相手側にも被害が出ているようだが、数が違いすぎる。

このまま、被害が出続ければ勝ち目はない。

何か手を打たなければと思うが、いい手が思いつかない。

悩んでいるところに、探索艦が新たな艦影を捕らえた。

その数は膨大だ。

敵であった場合、敗北は確定的だ。

俊は即断した。

「全艦離脱」

「全艦離脱させます」

海賊はチャンスと思ったのか、深追いしてくる。

両者共に、被害が拡大する。

そのタイミングで強制通信が入った。

「こちらは銀河帝国艦隊。繰り返す、こちらは銀河帝国艦隊だ。ただちに、戦闘を中止し降伏せよ」

銀河帝国艦隊は複数の銀河を支配する大帝国の艦隊だ。

文字化けしてよめなかった母親の実家でもある。

色々、調べたのだがどうも表記や発音するだけでも無礼にあたるらしい。

対外的に呼称がなければ不便ということで銀河帝国と呼ばれている。

海賊も事態を把握したのか追撃をやめ、戻っていく。

どういう意図で銀河帝国艦隊が現れたのかはわからないが、とりあえずは助かったようだ。

俊は事態を見守りつつ、被害艦の修理をはじめた。

海賊は降伏するのかと思いきや、銀河帝国艦隊に向け、陣形を整えはじめた。

どうやら徹底抗戦するようだ。

銀河帝国艦隊もその意図に気づき陣形を整えている。

海賊達は激しく抵抗していたようだが、大戦力である銀河帝国艦隊に蹂躙された。

俊達はただ、見ていることしか出来なかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る