第8話

お金は無事に用意できた。

大量の資源を採掘ギルドに売ったことでGランクからEランクにあがっていた。

「次のお越しをお待ちしているわね」

シュンミンさんはそう笑顔で言ってくれた。

「ハルカ。お金は用意できたから債権者の元に向かおうか」

「えっと・・・。本当にいいの?」

「お世話になったからね。気にしないで」

ハルカの先導で細かい通路を進んでいく。

これははぐれたら迷子になりそうだ。

「ここだよ」

看板にはビビット金融と出ていた。

扉をくぐり中に入る。

「あらぁ~?本当に来たのね」

中にいたのはドリトルだった。

「ドリトルさんが債権者?」

「残念~。私は、ただの中間管理職よぉ~。まぁ、手続きしてあげるからいらっしゃい」

ドリトルは席を勧めてきたので座る。

「ハルカちゃんの価値はこれぐらいね」

ドリトルが示してきた額はハルカに聞いていたより高かった。

「なんでこんなに・・・」

「あら、これでも負けているのよ。オーナーの意向で採掘なんてさせてるけど夜のお店で働かせたら稼げるもの」

「僕に異存はありません」

「そう。なら、この契約書にサインしてちょうだい」

差し出された書類にサインする。

地球での苗字は役に立たなそうだ。

なので、俊・マーキュリーとしておいた。

「あら、貴方、マーキュリー家の関係者なのね」

「父親の実家です」

「そう・・・。まぁ、いいわ。これで契約は完了ね」

「では、僕らはいきますね」

「お金に困ったらいつでもいらっしゃい。歓迎してあげるわ」

ドリトルはそう言ってウィンクを投げてきた。

背筋がぞわぞわする。

お世話にならないようにしっかりとお金を稼ごう。




「これからどうするんですか?」

「艦に戻って、採掘かな?」

「でも、私、艦がないですよ?」

奴隷契約はなくなったが、与えられた採掘艦は没収されてしまった。

「大丈夫。僕と同じ艦に乗ってもらうから」

「いいんですか?」

「うん。それに効率よく採掘する為に、艦の数を増やすからそのサポートをしてほしいかな」

万能工作艦である明石なら採掘艦も作れる。

海賊が普通に存在することも確認できたので戦闘艦も増やす予定だ。

そうなってくるとAIがサポートしてくれるとしても人手が必要だ。

他に知り合いもいないのでその役目をハルカにしてもらう予定だ。

「わかった・・・。やってみるよ」

ハルカの承諾も得たので連絡艇に乗り込み明石に向け出発した。

明石に乗り込んだ俊とハルカはステーションからの出航許可も得たのでデブリ地帯に向けて移動を開始するのだった。

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