万能工作艦明石の軌跡
髙龍
第1話
ピーピーピーという電子音で目が覚める。
目の前には見たこともない計器が沢山並んでいる。
「おはようございます。マスター」
「ここは・・・?」
「万能工作艦明石の指令室です」
「指令室?昨日は普通に寝たはずなのに・・・」
寝て起きたらわけのわからない状況で頭が混乱する。
僕は普通の高校生だ。
こんな状況、夢に決まっている。
頬を引っ張ってみる。
「痛い・・・」
「マスター。落ち着いてください」
「これが、落ち着いてなんていられるか!」
「メッセージを再生します」
「メッセージ?」
すると父親の声がしてきた。
「俊。突然のことで驚いただろう?実は父さんと母さんは地球で言うところの宇宙人だったんだ」
「えっ?」
「本星からの命令で急に戻らないといけなくなってね。地球で生まれた俊は本星の住民登録ができていなくてね。申し訳ないけど宇宙船に隔離させてもらった。うまく使って生き残ってくれ」
メッセージはそれだけ言って終了した。
「つまり俺は見捨てられたってことか?」
「マスター。最善の行動を取れば生き残れます」
「最善って言われても・・・」
「幸い、必要な水と食料は大量に用意されています」
「そう。つまり、それで延命しろと?」
「いえ、本艦は万能工作艦です。運用次第で戦力を作り出すことも可能です」
「何ができるの?」
「デブリや惑星から資源を採掘。加工して各種、戦闘艦の作成が可能です」
「戦闘艦が必要なの?」
「現在の宙域は敵勢存在は確認されていませんが宇宙海賊など危険な存在が現れる可能性があります」
「それは大変だ」
「まずは近くのデブリから資源を採取することをすすめます」
「僕はどうしたらいいのかな?」
「指示を頂ければ自動で採取を開始します」
「じゃぁ。開始で」
「了解しました。マスター」
「他に出来ることはないかな?」
「まずはお食事をされてはいかがでしょうか?」
そういえばお腹が空いた。
「食事はどうしたら?」
「食堂にご案内します。案内図に従い移動してください」
俊は席を立ちビーコンの指示に従って歩く。
今、気づいたが宇宙だというのに重力があるらしい。
「重力があるんだね」
「人工重力発生装置が働いています。オフにすることもできますが?」
「いや、このままでいいよ」
しばらく歩くと1つの部屋の前にやってきた
中に入るといかにも食堂という佇まいをしていた。
「こちらのパッドから好きなメニューをお選びください」
パッドには見慣れたメニューが並んでいた。
とりあえず、朝の定番ということでパンにサラダにスクランブルエッグ。
飲み物にカフェオレを頼んでみた。
すぐにテーブルの真ん中が開き頼んだメニューが出てきたのだった。
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