第42話 竜王のお土産
明蘭が執務室で書き物をしていたら、龍将が突然部屋に現れた。
背後から抱きしめるように覆いかぶさってきて、明蘭の頭に顎を乗せじっとし始めた。
「龍将。今、書き物をしているから後にして。」
「ん。」
返事はするが、全く動く気配はない。
明蘭は邪魔だなと思いつつ、あきらめて書き物を再開した。
最近、こうした龍将のなぞの行動が度々ある。何も言わずに抱きしめてきたりするので、最初はびっくりしたり、ドキドキしたりしていたが、このごろ慣れてきて明蘭も適当にあしらえるようになってきた。
言葉を伴わない謎の行動の意味を問い質したい気もするが、聞く勇気もなくズルズルときてしまっている。
しばらくして満足したのか龍将は明蘭から離れた。
「明蘭。ちょっと東の方の国に行ったから、ここに土産を置いておくぞ。」
そう言うと机の上に黒い塊をゴトっと置いて消えてしまった。
「本当に急に現れたり消えたりマイペースだな・・・。」
やれやれと息をつきながら黒い塊を見た。
「
それは黒い石で作られた文鎮のようだった。
「また面妖な物を・・・。」
手のひらいっぱいくらいのサイズのそれは、カエルの形をしていた。
そのカエルはこれでもかくらい大きく口を広げて上を向いている。しかもイボガエルである。
「なんで口を閉じて前を向いたつるつるの普通のカエルのにしないのかな?」
ため息を吐きながら、明蘭はカエルを部屋の棚の隅の方に片づけた。
老師様も、こんな変なものばかりもらって困ってたろうな。
寿峰のことを久しぶりに思い出しながら、明蘭は少し笑った。
後日、明蘭の執務室でそれを見つけた頼誠がしげしげと眺めていた。明蘭が「あげようか?」と聞いたが、横にいた泰誠が目線で合図を送ってきたため頼誠は「殺されたくないので結構です。」と断っていた。
かくして明蘭の執務室は意味不明の置物であふれるようになり、数年後、竜王の宝物庫という名のガラクタ部屋が別に作られることとなったのだった。
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