火炎系能力に目覚めた俺は超能力犯罪の撲滅を開始する

流川 桃太郎

第1話

「おーい白井」


白井 桔梗しらい ききょうは自身へと話しかける友人、岡田 優斗おかだ ゆうとに校庭へとやっていた目線をむける


「どーしたん?」

「昨日のニュースみたかなーって。ほら、東雲しののめ隊長がさ、また能力者を捕まえたんだっよ!」


「シノノメって内のクラスにいる東雲 杏奈しののめ あんなの親父のか?」


シライたちはクラスで一人本を読んでいるアンナへと目をやる。


彼女はここ、超能力対策機関育成高等専門学校に入っている生徒の中でも一際異彩を放つ少女だ


彼女の容姿は美しい

それはまるで天使のように


また、父親の東雲 桜夜しののめ さくや

国内唯一の超能力対策機関(以下、超機)公認の能力者であり、


彼の影響により日本では超能力犯罪が20%も減ったと言われている


だが、父親の影響により校内では彼女についての様々な噂話が存在していた


コネ入学、ひいきされている成績、養子である、などそれは酷い言われようであり、おかげで彼女は孤立気味になっていた



「それにしてもさー、最近超能力犯罪増えてないか?なんでアリエルの連中は能力者増やしてんだろうな」


生まれたときから能力者、という人間は極めて少ない


しかし、現在世界の犯罪の9割を超能力犯罪が占めており、

その根本にはアリエルが関わっている


アリエルとは世界的な活動を20年以上続ける犯罪組織の名称で、彼らの本拠地はおろか、目的すら判明していない


彼らは"人間を能力者にする薬"、能力薬を生産しており、作られたそれらは全世界で取引されていた


「やつらの目的が分からんよな。


まあ、能力者が増えたって、俺等が強くなってドンドン捕まえていこうな!」


とキキョウがいうと、


「あぁ!俺はさ、能力者捕まえて将官になってじーちゃんばーちゃんに恩返ししてやるんだ!」


ユウトも能力者を捕まえるという思いは熱いようだ


能力者を捕まえたという実績はかなり大きい


能力者を民間人が捕まえた事例が数件だけだがあり、その民間人は超機に特別入隊、異例の出世をはたしている


ユウトの両親は超能力犯罪に巻き込まれて既に他界しており、だからこそユウトは親の代わりとして自身に愛情をそそいでくれた祖父母に立派になって感謝を伝えたいのだろう


ここにはそんな生徒ばかりだ

超能力犯罪によって肉親や友人を失ったものばかり



そんなときだった


「ねぇ、君らの話、聞こえたんだけどさ、能力者、捕まえたいんだって?僕と一緒に捕まえにいこうよ」


いきなり話かけてきたのは柴田 陸矢しばた りくやという学校でも随一の変人だった


「ちょ、超能力者を?そりゃあ捕まえられるもんなら捕まえたいけどさぁ、能力者とか銃もってても勝てないような奴らだぞ?それを素手の俺等が捕まえらr、」


「それは能力者が自身の能力に磨きをかけてる場合ね。能力者になりたての奴は例えば発火系の能力の場合ライターよりちょっと強いくらいしかでないから高校生が3人もいればお釣りが来るくらいだって超機関の人がいってたよヒヒヒ」


ユウトの発言を遮り矢継ぎ早に語るリクヤ

そんな彼の発言には違和感のある箇所があったので指摘をすることに


「なりたての能力者?そもそも能力者に接触するのも難しいのにどううやっt」


「あぁ知らない?最近匿名掲示板で募集してる闇バイト、その報酬で結構な額のお金と超能力者になれるんだよ」


(コイツはまた人の発言を遮りやがって)


「それとなりたての能力者を狩ること、どう繋がるんだよ」


「バイトには数人が同時に一箇所にあつめられてそこで具体的な指示を受けるらしいんだ。


だからね、僕の作戦としてはこうだ。


誰かがバイトに応募して指示の場所を把握。


あとの2人は近くに潜伏しといて能力者となったほかの応募者のあとを付け、そして3人で袋だたきにする。


どうだい?なかなか良いプランだろう?」


(たしかに、うまくいけば俺等は能力者を倒したという実績を得て今後有利に超機でのキャリアを積むことが出来るかもしれない。でも、)


「いいじゃんそれ!!能力者をかなり簡単に狩れるし、うまくやれば指示役の情報を超機に渡してアリエルの撲滅につながるかもしれない!!」


ユウトは目を輝かせてこの話をすっかり信じ込んでしまっていた


「おい、ユウト!!こんなん無理だって!!一回落ち着けよ!」


「いいや、僕はやる。たとえ1人だってやってみせるさ!だって能力者1人いなくなるだけで何人の命が救えると思うんだ!」


「ユウトくんは決定みたいだね。キキョウくんはどうする?やめとくのかい?」


こんなの絶対に失敗する。


でも、ユウトには帰る家がある。

生き残らせないといけない人間だ。


「しょうがねぇ、やってやるか!」


そんな俺をみてリクヤは笑みをうかべ

「いいね、じゃあ準備をしよう」



この選択をしたことが白井 桔梗の一生を大きく動かすことになる

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