第9話 父ちゃんと母ちゃんの恋物語

私こと香緒里は、親には自由にしろやと言われてる。


だがな、私が贅沢させてもらえるんだから、それなりに役割もあんだ。


誰かが、家のために結婚すっとかな。財産とか守んなきゃ。


私には暫定的な許嫁がいる。そいつとは、お互いを縛る感じじゃあない。


私は健太みたいやつと結ばれたいが、ダメなら家のために結婚。


許嫁も同じスタンスだ。


だから、余裕でいられる。


まあ、色々とあって、すでにセックスも済んでる。



親、許嫁とも、色々申し合わせてるよ。


早くも結婚に割り切りもある。そんで愛も信じてる。


亜梨沙にちっと話したついでだ。ケント父ちゃん、マリナ母ちゃんの話でもしとくか。

◆◆


2人は高校の同級生。


高1が同じクラス。一緒に文化祭実行委員をやって、ケントが惚れた。


美人のマリナは、何度かグループで誘われて遊んだ。


ケントは家のことを鼻にかけない。好意を持ってくれてるっぽい。


それを踏まえ・・


印象。「いい人だけどフツメンね」。非常に残念です。


悲しいけど、父ちゃん見てて、分かる。


高2の秋、マリナの親父が事業失敗。ケントの家に融資申請。


マリナ、血筋とやらは名門。


そんなもんで、ケントのジジイ脅す。本家三男のケント、分家従兄弟のどちらかの嫁にマリナ差し出せ。


ケント驚愕。


あこがれのマリナのオッパイ見れる、うっひょ~。妄想と股間が大きく膨らむも、猛反省。


マリナ解放を考える。


が・・


従兄弟がマリナを気に入った。こいつ女癖最低。


本家ケント断る↓分家の従兄弟にマリナ蹂躙。これ以外の絵図が思い浮かばぬ。


真剣に考えた。ケントは使えるもんは使うことにした。


・・・・


一週間後。


マリナがケントに指定され、向かった先は、学校近くのマンション。


もう噂は流れている。


本家の強権発動。ケントがマリナの婚約者に収まった。


ケントの希望により、2人で暮らすことになった。


親は、マリナを売るくらいなら別の方法考えるって。


しかしマリナ、年が離れた2人の妹は見捨てられない。


覚悟してマンションに入った。


マンションに入ると、出迎えたやつは予想外。


空手部ヨーコ、柔道部タマコ。


戦闘力抜群の親友だよ。


???


なぜか同居開始。女2人と。

学校行くと、変な噂。


ケントは金でマリナ買った。


親に部屋用意させたけど、そこにマリナのガードが居座る。


特攻したら柔道、空手で撃退され、いまだケント童貞。


マリナ純潔キープ。


なんだそりゃ?


3つ離れたクラスにケント見に行くが、いない。


いない。またいない。


生活平穏。


ケントの噂は流れる。


マリナの胸もんで撃退。待ち伏せして撃退。


マリナ、なんもされてねえ。さすがに変だよ、と。


けどケントと話できす。なんと数ヶ月。


3月6日。


ケントの方から呼ばれた。


迎えが来て、2つ離れた街のラブホ街。


を通りすぎてーの、誰もいない郊外の喫茶店。


そこでバースデープレゼントを渡された。


「私の誕生日、明日だよ」

「明日は仲間に祝ってもらえばいいよ」


そんだけ言って、あとは無言でケーキとコーヒー。


ケントぽつり。


「安心してて。必ず解放するから。好きなことしていいから」


ケントは先に帰った。


またケントに避けられ、春休み突入。


ケントの親戚の家に行って、前から仲良くしてるおばはんと面会。


とうとう知ってしまった。



マリナ自身は、女癖が悪い従兄弟に狙われていた。


それをケントが婚約して阻止した。


ケントは、高校卒業後、裕福だけど子供ナシの隣県の分家へ養子に行く。大学も向こう。


問題は行く条件。


合点がいった。


最近、親から連絡アリ。ケントの口添えで、隣県の事業家と仕事の契約を結んだ。持ち直せる。


ケントは、金を返してくれれば、マリナ解放。そう言ってた、と。



マリナは泣いた。



同居の護衛友2人はケントの仕込み。揺すって吐かせた。


ケントはみずから噂流して、マリナの不名誉な噂阻止。


ただし自分の汚物扱いがセット。


ダチは離れていった。


辛うじて計画知ってる他校の友人が2人アリ。



高3の新学期になった。


違うクラスのケント、相変わらずつかまらず。


4月18日、ケントの誕生日。マリナ、覚悟決める。


4時間目の授業中、終了5分前。


ばーん! 教室の後ろ扉全開。


教師棒立ち、クラス全員あんぐり。


マリナ突撃!


さすがに逃げられないケント。マリナ、その胸ぐらつかんでどーん。押し倒した。


パニクるケント父ちゃん。


けど馬乗りになっちまって、マリナ母ちゃん、さらにパニクる。


押し倒したはいいが・・


「え、えっとなに?」

「あ、あの、わ、は、あ、そうだ」


「はい?」


「ハッピーバースデー、ケント」


えええええ?そのために凸?


クラスメイトの方もパニクったね。


「・・馬鹿だろマリナ・・」


「そっちは、もっと馬鹿」


「好きなこと、やればいいんだよ」


「だから、今やってる」

「へ?」


「プレゼント、受け取って欲しくて、届けに来た」


「な、なにくれるの」


「私・・。彼女に立候補する。受け入れてくれるなら・・末長く、よろしくお願いします」


ええええええええ!


馬乗り↓ハッピーバースデー↓告白↓プロポーズ。


ジェットコースター!


クラスメイト沸きまくり。


父ちゃん泣き出す。収集つかず。


出来立てカップル、母ちゃんからチューの寸前、教師のイエローカード。


昼休み、ギャラリー多数の中、生徒指導室まで市中引き回し。


なお道中、マリナが手を絡め、恋人繋ぎ。


春、初チュー。


夏、セックス開始。


冬、気付かぬうち避妊失敗セリ。私、着床。


高校卒業、同時に他県移動。親戚と養子縁組、名字原田に変更。


もちろんマリナ付き。


同じ大学入学、同時にマリナ、妊娠発覚。


ケントのなりたて義両親うひょっ。息子↓息子嫁↓孫


一気だ、ワン、ツー、スリー、とったどー。


家に金もある。サポート万全。


入籍、結婚式。


そんで母ちゃん、産休入り私爆誕!


ジジババ、大歓喜。



これが・・・・


金で買われた、私の母ちゃん幸せストーリーだ。


考えてみたら、母ちゃんって3年後に弟も生んでる。


大学卒業まで7年だしさ、私の卒園式と母ちゃんの卒業式、同時にやった。


デタラメだな。


父ちゃんは、170センチのフツメン。優しくてニコニコしてる。


は、誰かに似てる?


バッカやろー、私はファザコンじゃねえよ。


ケント父ちゃんと健太が似てんのは、たまたま。


誤解すんな。


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