第12話 気分も上々♫

 11時。誠さんとの約束の時間。

 わたしのマンションまでお迎えに来てくれるって言ってくれた。今日はまずドライブデートからかなぁ。


 ピンポーン♫


 インターホンの呼び出しには秒で応える。


「はい!」

「おはようございます、陣内です」


「おはようございます、今すぐ降りるね!」

「ゆっくりでいいよ。乃愛ちゃん」


 だいじょうぶ。1時間前から準備万端でスタンバっていたので即時出発出来るんです!




「ごめん、いつもの自分の車、車検でさ。今日は代車なんだよね……すっかり忘れていたんだ」

「ん? 問題ないよね。普通に動くんでしょ?」


「型落ちの軽自動車だし、狭くて窮屈かなって……」

「そんなことないでしょ。誠さんとの距離が近くてこっちのほうがわたし好みです」


 実際わたしは車なんて興味がない。軽自動車も高級車も違いがわからないもの。何に乗るかじゃなくて誰とのるかのほうがわたしには大事なんですよ!


「あはは。それは助かるよ。えっと……。乃愛ちゃん、今日はちょっと雰囲気が違くないかな? なんていうか、えっと……、きれいだし、可愛い……かな。大人の女性に可愛いはないか」


「えへへ。気づいてくれました? ちょっと気合い入れてみました。せっかくのデートだから可愛く見られたいじゃない? だから可愛いは正解だよ」


 今日は中身を見てもらいたくて服装はシンプルに白のカットソーにベージュのロングタイトスカート。足元は濃茶のサンダルで過ぎゆく夏を惜しんでいる感じをだしてみた!


「それなら僕ももう少しちゃんとした服装をしてくれば良かったかなぁ」


 そんなことはないと思う。


 今日の誠さんの格好は細身のチノパンにリネンのシャツ。スニーカーもピカピカで、泥汚れなんて皆無。ヒゲはきれいに剃ってあるし(もちろん剃り残しなんて無い!)ほのかに香る柑橘系のコロンもいい感じで誠さんのイメージに合う。コンタクトレンズを使っているのか今日は眼鏡じゃない。そのせいかガチでやりすぎていない眉のカタチがいいのも良く見えて素敵。


「誠さんも雰囲気とていいと思うよ。わたし、男性がガチガチに雰囲気作り上げてきましたーって言うのよりさり気ない今の誠さんみたいのが好きだよ」


「そうかなぁ」


「そうよ。今日のわたしのコーデともなんとなく雰囲気があっている気がするんだけど、どうかな?」


「んー言われてみると合っているような気がするね」


 今日のデートは上々の滑り出しだね!

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