2話 5章 蜂蜜レモン水/手作り素麺(そうめん) 9

 恰幅の良い男は、コップを受け取ると、煽る様に蜂蜜檸檬水を飲みだす。

 最初に口の中で、ほんのりと甘い味や、しょっぱさを感じると共に、蜂蜜の匂いと檸檬の香りが鼻の中を突き抜ける。

 さらに彼は喉を鳴らして、コップの中身を空にしてしまうと、満面の笑みで言葉を漏らした。

 「クアァァ!!…染みる。…喉が渇いていたから、余計にだ。」

 「お、おぉ。…」「…旨そうだな。」

 そんな様子に、他の店主達も両目を開きながら、声を漏らす。やや羨ましげな視線を向けていた。

 「ねぇ。…まだ残っているなら、此方にも頂戴よ。」

 と、誰かが言う声がした。声からして、女性の人である。

 「え?…うん。」

 と、サーラも返事をすると、恰幅の良い男からコップを返してもらうと、再び中に蜂蜜水を注ぎ入れる。もはや殆ど条件反射で、勢いと雰囲気に流されるようだった。

 「ありがとう。」

 と別の店主、ーー綺麗な女性も、コップを受けとると、ゆっくりと蜂蜜水を飲んでいく。やがて中身を空にすると、独り言の様に喋りだす。

 「…ふ~ん。少し薄いかしら。…でも、どんな味付けかは分かりやすいし、子供の好きそうな味つけだわ。」

 「…それなら、簡単に真似が出来そうだね。」

 「…最近は、少しばかり暑いもんな。」

 「…それに基本的に、水は湯冷ましだし。…大人は好んで飲まないからな。…味も良くするには、酒とかを割る程度か。」

 「…酒だと喉も渇く事も多いけどよ。…」

 「新商品として、売れるだろうね。」

 ほぼ同時に、他の店主達も感想を述べだし、まじまじと視線を送りつつ、サーラの持つピッチャーの中身を観察していた。

 彼等の視線は爛々と輝いており、商人としての興味や目論見が表れているのだった。

 「あはは、…。」

 と、サーラは苦笑いを浮かべるばかりである。

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