第21話 深夜に目を覚ますアレクシス嬢

 浅い眠りについていたアレクシスは深夜の物音に目を覚ます。


(今のは……アナベルの家の玄関の音ですわ)


 こっそりと物陰から外の様子を伺う。

 家の中から誰かが出てきた。


(あの背格好は村長ですわね。手に弓、背中に矢筒、明かりも持って行かないなんて)


 馬小屋で聞いたアナベルの話と盗賊の話を照らし合わせ、彼が何をしようとしているのか容易に想像できた。


(……んもう、どうして男の人は勝手に一人で危険なことをしようとするのかしら。そんなに女は頼りないですか?)


 予定変更。アレクシスは立ち上がり、衣服に付着していた藁をせっせと落とす。


「ぶるる」


 一緒に寝ていたペラージョが起きる。


「あら、ごめんなさい。気を配ったつもりでしたが起こしてしまいましたわね。あなたは朝まで休んでくださいまし」

「ねるる」


 頭をなでると気持ちよさそうに目を細め、二度寝に入る。


「さてと一宿一飯の恩義を返しに行きますわよ」


 アレクシスは肩を回しながら馬小屋を出た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る