7.引きこもり2日目

7.引きこもり2日目



 リーフは、固形食料とガリの嫌がらせの水を飲んで寝ていた。

 野営セットはある。4人分の綿入り高級寝袋を下にすると、ふかふかだ。

 それに、ポーションは無駄使いできないから、自然回復するまで表のオーガと根比べだ。


 だが、時間が出来たということでもない。

 時間が経つにつれて、あの[祝福の儀]前から見ていた気持ち悪い夢をまだ見ている。


 スキルがハンターをやる上で使い物になったらな~。

 スキルが使い物にならないから、パーティー活動が休みの日は、飛び込みでギルドの短剣の戦闘講座とかとって斥候としてやっていけるように頑張ったりしていた。

 荷運び役のレジェンドがやっている講座も受けて、荷物を持っていても早く動けるような身体の動かし方とか、なんとかものにした。

 受付嬢のメイさんやベロアさん達に、ギルドでのクエスト報告書とかの書き方を教えてもらって、事務の仕事も全てやっていたけど、これだけパーティーに貢献しても裏切られたら、おしまいだ。


 ソロの人で、パーティーは絶対組むか!なんて酒場でよく怒鳴る人がいるけど、こういうことだったのだな。


 スキル ハッパ!


 手に出てくるのは、しんなりとした柔らかい葉っぱ。

 これだけ。

 このスキルの使い方を、この五年間いろいろな魔導書とかギルド資料を読んで参考にして、どうやれば発動するのか、いろいろ試してやっとできたのがコレ。


 そして、コレが今のステータス。

 スキル自己鑑定ステータス!


名前 リーフ ✱✱✱✱✱✱✱

ジョブ (仮)斥候

レベル 15

状態 瀕死一歩手前 全身打撲 複数箇所の骨折 原因不明の異常状態


生命力   3/150

魔力    60/150

スタミナ   5/150

力     5/150

敏捷    0/150

攻撃力   1/150

防御力   1/150

幸運   150/150


スキル ハッパ 短剣術レベル5 回避術レベル5 罠解除レベル9 気配遮断レベル9 マップ作成レベル9 速読レベル9 野営レベル9 書類作成レベル9 交渉述レベル9 自己ステータス鑑定レベル9


二つ名 役立たずスキル


称号  無し


 なぜ二つ名が、役立たずスキルなのだ?

 人間の限界と言われるスキルレベルは10だと言われている。

 それに近いレベル9にどれだけ苦労して、近づけたか。

 

 あれ? 名前の横に✱✱な伏せ字?

 ダンジョンに入る前にも、何か変わってないか金を払って調べた時はなかったのに。

 原因不明の異常状態?

 どういう事だ?


 そうだ、比較としてその時にステータスを調べた、ガリのものも出してみた。


名前 ガリ

ジョブ 剣士

レベル 35

状態  興奮


生命力  330/350

魔力    60/60

スタミナ 610/650

力    650/650

敏捷   100/100

攻撃力  650/650

防御力  300/300

幸運    10/10


スキル 剣術レベル3 身体強化レベル2 俊足レベル2 


二つ名 粋がり小僧


称号 無し


 ジョブによるステータス値の補正とか入るけど、僕のジョブはいつまで経っても(仮)が抜けない。

 そして、レベル1からの基本数値10の定量増大になっている。

 おかしいところは、最大数値があまり変化しないはずの幸運も最大値が定量増大になっている事。


 あ~、僕の今の数値が低いのはまだ体が治って無いから。

 そろそろ昼の時間だな。

 リュックサックから鍋を出して、煮込む。

 よく考えると、4人分の20日間の食料を持っていたのだ。80日分はある。

 助けが来るかもしれないが、今は動けないから早く回復するために食べよう。


 先程出した葉っぱを鍋に入れて、食材を入れる。今日は乾燥キノコ鍋だ。

 そう言えば、このスキルハッパから出した葉っぱを、料理にいれると味が物凄く良くなって、スキル野営のレベルがすごく伸びたな。

 まぁ、少しは役に立っているのかな?


 

 3日目。

 また、壁に穴を開ける悪夢だ。

 なぜ、この夢しか見ない?

 そして、頭が痛い!すっごく痛い。

 痛み止めの丸薬を飲んで、食べて寝た。


 4日目。

 夢の中。


 #△✘▽▼☆♢∨%!


 何か怒鳴られている。

 しぶしぶ動く箱らしき物に乗って、洞窟に入る。


 「◁✢✯✝$[♡!」

 僕が、何か叫んでいる。

 「くそ!有給休暇くらい守れよ! なぜ俺だけ掘らないといけない! それもたった一人で! ふざけるなよ!」


 え???

 今、何を言っているのか、唐突に理解した。

 え? 穴を掘っている?なぜ?


 5日目。

 頭の痛みで、夢から起きた!

 痛い痛い痛い痛い痛い!

 あ!!! 思い出した! オレは!オレは?

 え~、そうそう、ようた!

 オレの名は、麻実田 葉太(はみだ ようた)。

 金山ので働いている、彼女いない歴が年齢の22歳だ!


 え? ここどこ?

 その時、自分はリーフだと思い出して混乱していたが、また腹が減っだので食事して寝る。



 [本人の記憶の覚醒が始まりました。これよりスキルの付与をします。

 エラー、完全に記憶が戻っていません。

 エラー、身体がかなり衰弱しております。

 エラー、魂に打撲の跡を発見。重症です。

 エラー、これでは異世界転生特典のスキル付与は行えません。

 異世界転生特典のスキル付与の実行は不可能。

 エラー、[祝福の儀]のスキル付与も正常にされていない事が判明。

 なので、リーフとして通常の[祝福の儀]のスキル付与をやり直します。]


 え?

 なに? それ? ハッパっていうスキルって、エラーだったの?

 え?

 エラーってなに? どういう意味なの?

 あ、失敗? う、気持ち悪い…。


 リーフは、気絶してしまった。


[スキル構築を開始。

 麻実田 葉太(はみだ ようた)のスキルの読み出しを開始。

 リーフの本来授かるはずのスキルを問い合わせます。

 スキルツリーのスキル領域帯を確保開始。]



 6日目。

 起きたリーフは、唐突に理解した。

 オレは、麻実田 葉太(はみだ ようた)。

 僕は、リーフ。

 そうだある日、日本の某所にある秘密鉱山(表向きは閉山したことになっている)で、オレは金を掘っていた時に、事務所に呼ばれてそこから東京の渋谷に行かされた。


 渋谷駅のドアから、地下に入って行って恐らくだけど最低、地下150メートルは下に行ったと思う。

 そこで、地下の硬い地層を爆破して掘れって、言われたのだ。

 

 で、一人でドリルで穴を開けてダイナマイトを仕掛けてから記憶がない。

 そこから、リーフとしての記憶になる。

 あ!そう言えばこの穴に落とされた時に、オレの上司の言う事とか、よく似ている男性かな?が、異世界とか言っていたな。


 ウソ~ん。 オレ、トラックにはねられたとかでなく…。

 いやダイナマイトは、まだスイッチにはつなげてなかった!

 安全確認だけは、本当に厳格にやっていたぞ!


 ということは、心臓麻痺か?

 いつも野菜6割、炭水化物1割の比率の食事だったのにな。

 わからない。


 え~、混乱しているけどオレは異世界に飛ばされて、今は僕はリーフだ。


 魔法のある世界か~。

 ぼんやりと、セーフゾーンの外を見るとオーガと目があった。


 そして、体が痛い。

 夢ではないな。早く回復しないと。

 

 

 

 



 

 









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